
攻略対象となるヒロインは5人、選択肢ほぼ1回分岐のお手軽仕様です
Hシーンは1キャラ5~6回と頻度は多いモノの尺は短めでアッサリ風味
一応区分としてはキャラ萌えに該当する作品であると思います
お話としては
共通シナリオはセレブの集う「国立大楠学園」に通うことになった「園部円」が
ルーヴェンス王国のお姫様「オルフィーナ・フォン・ルーヴェンス」と出会い
最初は、冷たい態度を取られるも、オルフィーナの処遇の悪さを知ったことで
オルフィーナを孤立化させているのは学園に絶大な影響力を持つとされる
上流階級ばかりで構成された「麗人会」に対抗するべく「社交部」を結成し
麗人会や他の学生達に認められるように奮闘していくというモノです
個別シナリオでは麗人会との対決は一段落したものとして扱われ
各ヒロインとの関係や個人の抱える問題を乗り越えて結ばれそのまま……
という非常にシンプルな構成の展開になっています
一応メインであるところのオルフィーナが少しだけ長い展開もありますが
基本的には1つの山場があって後はイチャラブという簡素な構成であるかと
共通シナリオで良くも悪くも活躍してくれる麗人会の方々はなりを潜めて
時々登場するサブキャラぐらいの立ち位置になっています
以上の構成になっている為、麗人会との決着までは
中盤に個別ルートをほぼ決定づける、選択肢直後の分岐を除けば
完全に共通ルートとなっている為一度でもクリアすれば
どれも直ぐに個別に入りあっさり終わってしまう内容になっています
個別では麗人会との対立と面々をアッサリ切り捨てて単純化されている事や
イチャラブがHシーンの頻度と比較してそこまで長いわけでもない程度に収まる事
等を考えると当初の構想された作品から大幅にカットされたのでは?と思う程です
延期を繰り返した作品でもありその辺りの事情を勘ぐってしまう内容でした
個別に分岐してしまえば気に入っていたヒロインは可愛いと思いましたし
シナリオも変な展開ではなかったと思うのですが如何せんあっさり過ぎです
流石に共通序盤のようなささくれだったムードはないのですけど
女性の多い場所ならではの気まずさとか居心地の悪さみたいな描写は
個別に入っても何度か見受けられますので、空気が会わない方には
この辺りも厳しく感じるのではないかと思います
個別で強調しましたが共通含めて含め全体的に
ボリュームが物足りない内容になっていたかと思います
あっさり終わらせる分にはよいのですが膨らませる事が出来そうな
設定やキャラが多いだけにもったいないと思った部分が多々
どうにも無理に出したのではないかと思ってしまう作品です
ボリュームもですが色んな意味で全体的に足りないと感じた作品でした
あと少しこうすれば、と思うシーンが非常に多かった気がします
舞台や設定の部分では強く引かれるモノが多い作品であり
サブキャラも調理次第では幾らでも美味しくなりそうだっただけに……
告白のシーンとかは前作のマーガレットスフィアに続き結構好きなのですが
もう少し全体的なバランスを見直すと良くなりそうなのになと思います
デレ後のヒロインが可愛いとか薦められる部分は勿論あるのですが
それだけをウリにするには少し厳しい気もする作品になっていますね
特にお姫様モノに飢えてなければ強くは推せない作品でした
以下、ネタバレを含む感想
【システム】
・画面は16:9のワイド
・キャラ別音声設定有り
演出や表示など細かく設定できますが
ゲーム進行では特に便利機能はないです
ただ、お馴染みの1回の選択肢で分岐になっているので
進行上の便利機能とか入らないでしょうけど……
一応、カノンルートだけはオルフィーナルートから更に分岐しますので
正しくは2つの選択肢で分岐なのですけど、どちらにしろ困らないでしょう
【ヒロイン】
■オルフィーナ・フォン・ルーヴェンス
北欧の小国ルーヴェンス国のお姫様、現在留学中
大使館住まいを嫌い、空き部屋であった円の部屋に住んでいた
ほぼ脅すような形で部屋に住まい円と同居という形で譲歩する
日本語が不慣れな為時々語尾などが怪しげになったりする
男性恐怖症である為円への当たりも強いが、円は何故か大丈夫な相手
元来のお姫様気質とキツイ言動も合ってか麗人会への入会を断り続け
その為学生達から孤立させられてしまっている、それに円は立ち上がる
ただし、最初の同居に至までの円に対する言動と言ったところや
時々飛び出すお姫様基準での我が儘なトークがかなり好みを分けるヒロイン
個別ルートにはいると多少我が儘で言葉がキツイながら安定はするものの
共通までは要所要所でそういった言動を見せて(主にプレイヤーを)困らせてくる
良くも悪くも円のようにオルフィーナの態度や言動を了承できるか否かが
オルフィーナを受け入れられるかであり、この作品自体を楽しめるかでもある
シナリオ自体は流石にメインの扱いを受けており、他よりも多少厚遇気味
言っても変化球も特になく王道の素直になれない2人と周囲の発破、そして、別れ
という展開が多少駆け足気味に書かれるだけで特に強く思うところはないです
エピローグとして多少後日談が長めに描かれているぐらいが優遇措置でしょうか
■東雲蛍
旧武家の末裔らしいお嬢様、円にも気さくに話しかけて来る
麗人会のやり方に疑問を覚えており「社交部」の立ち上げに賛成してくれる
何だかんだで良いところの女性ばかりである周囲に置いて唯一気軽に話せる友人
というポジションを持っており、その辺りの立ち位置では共通ルートで活かされる
個別ルートは全ルート中もっともあっさりしたシナリオという印象を受ける
年長者以外は結婚させないという古いしきたりを言い訳に恋愛を否定するも
なんだかんだで意識をしており、戸惑い平常を保てなくなる姿は良いと思います
他のヒロインも含めて全体的に言える所なんですけど告白する前後ぐらいが
一番ヒロインとしての描写が上手く描かれていて、非常に可愛いのですけど
それを超えて出れた後Hシーンだけ複数回して直ぐ終了というのは味気ないなと思います
特に子のシナリオは顕著で結ばれた後は直ぐにHシーンが連続知れ終わる印象です
■蓬田祥智
茶道の家元の娘である円の幼馴染み、学園で再会する事になる
その立ち振る舞いや優秀な成績から学園での人気は非常に高い
円を弟のように可愛がっており、円もそれをむげに出来ない
その行為は明らかに弟を可愛がるそれを超えているが突っ込まないのはお約束
そんな関係の2人がいて、話が恋愛ともなればやる事は1つという事で
互いに色々と慮って拗れるような展開になっていきます
それだけなら良いんですが、その関係を周囲から指摘されるのが非常に早い
もう少し悩む期間とかあげてもいい気がするのですけど、許されず
少し距離の置き方に悩んでいると周囲から散々皮肉と説教を受けます
女性ばかり空間の特有の居心地の悪さが良く再現されているかと思います
正直言うとあまり好きじゃない展開ですね、オルフィーナでもあるんですけど
言動がアレですけど、実際面と向かうと初心になるお姉ちゃんは可愛い
途中のギャグみたいな描写で下手に病みネタとかならないか不安でしたが
幸いこの作品ではそこまで発展することなく抑えるところで抑えていたかと
蛍シナリオでは完全放置だったので麗人会とのその後の関係を示される
結ばれた後の話はさり気ない描写ですけど結構好きですね
■一宮菖蒲
麗人会発足後に入部してきた努力家の後輩
共通ルートでは社交会の準備に一番奔走してくれる娘でもあります
非常に礼儀正しく、気遣いが行き届いた娘ですが、やりすぎている部分もあり
それが原因でピンチに陥る事も……
優秀な努力家ですが、共通での失敗を取り返そうとして空回りして失敗をしてしまう
そんな菖蒲をケアしていく円という形の展開で矛先が円の鈍感に向かず
良い感じにヒロインの魅力をピックアップされたお話しになっているかなと
全体的に安心して読めるお話となっていたかと思います
■カノン
オルフィーナ付きのメイドで、いつも筆談で会話をします
オルフィーナとはメイド以上に気心知れた関係のように会話無しで意思疎通可能
表情は結構変わるキャラなのですが、バリエーションに乏しい為か
怒っているのか意気込んでいるのか解らない事もあります文章で捕捉されますが
影の存在として表に出ないカノンに社交部員として社交会で楽しんでもらおうと
秘密で社交会の段取りをしようとしますが、それがどうしてもぎごちなくなる為
オルフィーナがとっさに苦しい嘘をついてしまいます
それがきっかけでカノンは円の手伝いを買って出てくるようになりますが
どうもその言動だけが手伝ってくれる理由ではないようで
筆談する理由についてはこのシナリオで語られますが深刻ではなく可愛い内容です
会話をするようになり、その後ぶつけてくるストレートな愛情は非常に良いです
他のシナリオではあまり目立たないヒロインですけど、お気に入りの1人ですね
しかし、この娘に限らずイチャラブ部分のボリュームがもう少し欲しいですね
【Hシーン】
オルフィーナ・フォン・ルーヴェンス:5
東雲蛍:5
蓬田祥智:5
一宮菖蒲:6
カノン:6
回数を見ると平均的な萌えゲーより少し多い程度ですが
1シーン1シーンはあっさり目の前戯などで終わる事も多く
なんだかんだで平均的な萌えゲーレベルだろうと思います
終盤に詰め込む感じでやるので頻度とか欲望の正直さだけは
下手なエロゲーよりすごいんですけども……
プレイは胸とか口で使ったのがある程度で後は服装と場所の差異ぐらいです
標準的なプレイばかりになっています、一応自慰もありますが
【まとめ】
正直狙いが解らない作品でした
前半の麗人会と社交部の対立と後半のヒロインの問題解決が別話過ぎて
対して長い話でもないのにちぐはぐな感じを覚える作品になっていました
前半の内容で発展させていくならあくまでそれを軸に展開して
そうでないなら、個別の問題を小出しにした方が受け入れやすかったのですが
特に前半の内容は妙に殺伐としていて印象に良くない所がありますしね
個別でのヒロインの描写は個人的には気に入っております
特に一宮菖蒲、カノンはお気に入りのヒロインです
ただ、ヒロインとの描写がかなり短いというのが残念なところです
他を犠牲にしてでもココを膨らませて欲しかったところなのですが
麗人会や風紀委員の面々も、もう少しピックアップして動いていたら
魅力的なキャラとして作品を盛り上げたと思うのですが殆ど共通だけ
と言う感じになっているのがもったいなく感じました
魅力的な素材は揃っていると思いますし、要所要所の見せ場は良かったのですが
その良い部分を上手く活かせず、見せられていないと感じる部分が多かったです
オルフィーナとの邂逅付近の悪印象も、見せ方次第ではあると思うんですよね
もう少しコメディ調で見せる事が出来たら序盤の雰囲気も和らぐのですけど
シリアスをウリとしたいなら逆に終盤の個別描写は緩すぎる気もしますね
余談として共通の終盤に思わず入浴現場を覗いてバレるシーンがあるのですけど
このシーンはその後周囲に責められるも最終的には不問となるのですが
覗いちゃったちゃんちゃんで終わらせるようなノリで書いたのかも知れないですが
正直この作品で今まで受けた印象から、ネタに感じられなかったのですよね
それぐらいこの作品の雰囲気作りというのは殺伐方面に上手く作用していました
そう言う意味で、キャラ萌えの路線を狙っているのか
それとも真面目に学園を革命する路線を狙っているのか
こうでなければとか、どちらかをやらなければいけないとか
そういったルールがあるわけでもないですがこの作品では
どちらも片鱗が見えつつ中途半端に終わっている印象でした


