
ヒロインは10人、昨今のヒロイン少子化を考えるとかなりの数です
実際はメイン4人、サブ6人という感じですがEDは完備されています
3つの学園にそれぞれメイン1人とサブ2人が、後1人は……言うまでもなく
最初に3つから学園を選択するなど、構成は少し特殊であるものの
基本的には選択肢でヒロインを決定していくタイプのADVです
1シナリオ11~13話ぐらいの構成となっており、1話20~30分前後の長さです
OPやED、次回予告演出はないものの良くある1クールアニメを意識したタイプ
1話1話の尺がそこまで長くないため、テンポ良く読めるようになっています
サブヒロインのシナリオでは11話や12話と多少短く終わるようになっています
残念ながら?ハーレム展開などはなし、1つだけ複数プレイはありますが
あらすじや設定の一部を見て期待する男子諸君の意思に反して
ヘタレとは言わないまでも主人公は純情な男子であるため、普通の恋愛をします
むしろHシーンの数は昨今の流れに逆らうように控えめな回数になっています
1シーンの長さは2回戦、3回戦ありと濃く描かれている節は見られますが
ヒロインが多いとはいえ流石にメインで2回、サブは1回だとしょんぼりです
さて、この作品ですが、主人公「明智久司」の設定に変化球を加えたように
過去の作品では見られなかった世界を幾らでも暗くできるような設定が
結構見られる作品となっているのですが、本編中ではそれに逆らうように
徹底的までにそういった暗くさせるような描写を避けいるような気がします
よって、ポップな雰囲気に反して、世界観は結構危うく、暗い影を持つモノの
プレイをしてみると結局は、第一印象で受けた雰囲気と変わりのない優しいです
守護者と人の対立構造の描写などが事細かに書かれているワケではないです
そんな、料理する人次第では幾らでもダークな展開に出来そうな話なのですが
料理したのは「ういんどみる」であり、ジャンルはピカレスク風「純愛AVG」です
良くも悪くも気軽に楽しめるキャラ萌えを重視した作品として仕上がっています
身体の関係だけもってヒロインを利用したり、時には鬼畜な事をするゲーム
とか期待すると間違いなく肩すかしを受けてしまうゲームではないかと
ただ、今回はメインとなるシナリオが多少凝っているような印象を受けます
どこまでも読ませるという程の強烈な吸引力は流石になかったモノの
テンポの良さもあって、最後までだれることなくプレイすることが出来ました
シナリオも、細かい部分を気にすれば突っ込み所満載であるとは思いますが
このブランドのカラーを考えるとこれぐらいがよい塩梅かなと思いました
それはともかく、この作品の本質はやはり萌えありヒロインでしょう
10人もヒロインがいますが、ぞんざいな扱いの娘はおらず、見せ場があります
10人いながら捨てキャラはどのヒロインも可愛く好きになれました
残念な部分は、水無月学園のサブヒロイン二人の個別の扱いが多少軽いこと
最初は10人いればどれか当たるだろうというのノリでプレイしましたが
贔屓したいヒロインは絞られるモノのハズレと思うヒロインはいませんでした
取っ掛かりは少し冒険に出た毛色の違う作品と印象を受けるかも知れませんが
なんだかんだで、いつものノリで楽しめる作品になっているのではないかと
よって、良い意味で「いつものういんどみる」として楽しめると思います
そんなわけで、ういんどみる作品の雰囲気が好きなら楽しめる作品かと思います
ピカレスクとかそう言った言葉に引かれた人には多分あわない作品かなと思います
以下、ネタバレを含む感想です
【システム】
・画面は16:9のワイド
・前の選択肢と次の選択肢のジャンプあり
・キャラ別音声設定有り
・用語辞典あり
・攻略制限有り
システムについては欲しい機能が殆ど揃っているかと思います
特にプレイする上で不自由に思った点はありません
用語辞典と言うことで、シナリオ中の用語が進行状況で埋まります
みんなで作る百科事典みたいな軽いノリで言葉が埋まっていきます
普通にEDをコンプリートするだけでは用語辞典は埋まらなかったりします
全員のファーストキスシーンについて記録されるのが新鮮ですね
攻略制限は「光理」シナリオについてのみ存在します
各学園のでは聖女候補を聖女にするルート(仮に聖女ルートとします)と
どこかで、ミスをし、普通の学園生活を送るルート(仮に恋愛ルートとします)
が存在しており、聖女ルートを進めることでEDを迎えずシナリオを継続できます
(聖女ルートでの各ヒロインの個別EDは非常に簡素なモノになっています)
これを3周すると最終シナリオに行くことが出来ます(仮に光理シナリオとします)
全シナリオをクリアした後、「はじめから」を選んでもいきなり光理シナリオは無理でした
どうやら最低限一度はどこかの学園の聖女ルートから飛ぶ必要があるようです
全シナリオクリア後に、聖女ルートで過去に行くと強制で光理シナリオとなるようです
【シナリオとか】
過去の聖女の願いによって、能力(ギフト)を持つ守護者(ジーニアス)ばかりが
贔屓されている世界でのお話、類い希なる資質から能力を持たない普通の人間ながら
守護者としてニッポンのジーニアスを集めた名門の皐月学園に通う「明智久司」
そんな彼の願いは守護者びいきのこの世界を破壊することだった
そんな彼の前に妹と偽って現れた、謎の少女「メフィスト」
そして、振って沸いたようなノアの目覚めと聖女候補の話
聖女に選ばれ世界長となった少女は世界そのものを変えてしまう存在となる
そのことを知った久司は世界を壊すため、補佐として聖女候補を籠絡し
聖女を意のままに操るという計画を企てます、そんなわけで3つの学園から
排出された聖女候補から誰を聖女にしたいか選んでください
□私立皐月学園
もとより、久司が通っていたニッポンの学園
聖女候補「葉月翠名」のとその補佐のメンバー2人とは全員親しく
翠名からは強い好意を持たれていることを感じています
そんなわけで、翠名の願いは久司と相反する現状維持であるものの
一番籠絡するにはたやすい相手とおもい、接近することに
このルートでは聖女選定の儀式が大きく扱われることがありません
学園の部活動や親しいヒロインとの関係が主に描かれています
世界の破壊のため、聖女候補に近づく明智久司のやり方について
一番語られるのがこのシナリオです
サブの扱いも良く、どのヒロインもそれなりの尺があります
■葉月翠名
流石のメインと言うべきか、扱いは大きいです
一番あらすじに沿ったお話でもありますね、この学園は恋愛要素が強いです
未来を予測できるという強力な能力ですが、会長選挙には役に立たたず
主に久司を追いつめるためと、口説くためにある能力でした
ゲーム的には正しいですが、聖女選定には正しくないと見せかけて
メタ的な視点で見ればとても役立つ能力だったわけですね解ります
この作品では数少ない、嫉妬キャラでもあります、可愛いモノですが
■光明寺夢子
もう1人のメインと言っても良いほど皐月学園での活躍が著しい少女
個別シナリオでも体感ではボリュームがありかなり扱いがよい印象
便利に動けるキャラでもあり、共通シナリオでも非常に目立ちます
それどころか、別の学園では他2人をさしおいて活躍する役所と贔屓が凄い
天真爛漫で見ていて元気になる後輩という感じでしょうか
普通に恋愛していただけの気がしますけど、全く問題ありません
■春秋詩子
皐月学園の元会長で翠名と久司の良き先輩
つかみ所のない性格で、久司も軽くあしらわれる
似たもの同士と言うことで、久司が翠名に接近する理由を知っていた
そんな彼の本質を知りながらも、知っているからこそ好意を抱いている
告白の仕方がキャラからして如何にもという感じですが可愛い
□聖ジュライ学園
世界に名を知られるジーニアス育成の名門である女学園
会長のサクラが目指す世界は久司にとって受け入れがたいモノの
サクラが選挙における一番の有力候補であると見て接近を試みます
聖女ルートはあくまでサクラとその能力が中心となった話になっています
ただ、持つモノと持たざるモノ不公平な関係だと思っていた守護者と自分
しかし、サクラの事を知るうちに……
■サクラ・ウィンザー
聖女というイメージに相応しい、高貴な血を引くお嬢様
人当たりが良く、ぽわぽわした性格であるモノの護衛二人の物騒な発言を前に
何故か突っ込み役のポジションに立つことになっている
聖女マニアであり、彼女の口から出る聖女の金言はどれも役に立つことばかり
人当たりは良いモノの、勉強や料理、スポーツといった事は、どれも得意でない
そうありながら、どんなことにしても対して諦めず、努力をもって向かっていく
しかし、スポーツが不得意なことと、料理が不得意なことには実は理由があり……
多分、聖女学以外の勉強の飲み込みが悪いのには特に理由がないと思います
聖女ルートではない場合アイリスと3人で結ばれます、聖女候補はマジ偉大です
■アイリス・ウィンザー
サクラの妹、サクラと反して可愛らしい容姿ながら凶暴な性格
暗器を使った攻撃を得意としており、能力と相まって戦い方は暗殺者のそれ
その能力故、敵としては厄介だが仲間としてはやられる運命にある少女
あと、サクラルートでも敵として立ちふさがったり敵率が高い
サクラの学園ルートでは3Pとなるため、サブで唯一の2回Hがあるヒロイン
アイリスメインのルートのHで足が使われること99%の人が予想できると思われる
■雪見カエデ
完璧メイド、一年先輩なだけですが、パティと同学年と思うと……え?
きっと雪見カエデさんじゅうななさいぐらいの設定があるに違いない
サクラのメイドで護衛、アイリスとは違う意味で物騒な性格
特に理由はないもののメイド=完璧で底が見えないヒロインなのである
ただ、味方になると戦闘でアッサリやられたりするので読めない
聖ジュライメンバーは敵に回すと厄介だけど味方にすると少し
本編では久司を認めつつもしっかりとした距離感を保つキャラですが
個別に分岐すると後は一気にデレ期へ突入します、なんだかんだで
近い年代の少女という感じでしょうかさんじゅうななさいとか言ってごめんね
□国立水無月学園
国の重要な機関に属するらしい実力主義がモットーの学園
なんだか世界観が他と少し違うような、かなり違うような
選択肢などでも遊び要素が多く雰囲気が全体的に異質ですね
全体的に堅く見えて一番気楽なルートかも知れません
実力で能力と見紛うほどの技を磨いた久司にとって
実力主義を歌う水無月学園が一番あうと判断することになる
しかし、姫乃達の目的はノアを手に入れ聖女となることではなく……
姫乃の正体については予想の範疇かなと思います
そんなわけで、テーマはジーニアスと普通の人々です、多分
聖女ルートでも学園ルートでも姫乃の扱いは良いモノの
他の2人の扱いがやたら軽いと言いますかサブなりと言いますか
キャラこの2人は気に入っていただけにちょっと残念な流れです
メインのお話自体は非常に解りやすく良かったのですが
因みにAAランクが2人います、流石の実力主義です
■時雨里姫乃
能力名と同じ「鋼鉄乙女」の異名を持つ聖女候補
その異名通り、態度は非常に硬質で、出てくる言葉は冷たい
久司が何かたくらんでいると知り、興味を持つ
その能力は非常に強力であり戦闘に置いては無敵を誇る
他のルートでは扱いの軽かった選挙がシナリオのポイントになります
あまり使う機会がなかった高速思考が初めて役に……やっぱり、立たないでござる……
聖ジュライも皐月も、敵に回った瞬間に有能になるのはずるいと思います
だから参謀(笑)とかいわないでください、最後がんばるしね、参謀役じゃないけど
うち解けてからは、非常に可愛いギャップタイプのヒロインです
個人的に聖女ルートで見られる未来の結末の姿が一番来ましたね
AAランクの実力者です
■パトリシア・ランカスター
元会長で先輩にあたるヒロイン、パティ先輩、ちょろい
頭に血が上りやすく、喧嘩っ早い一面がある、ちょろい
適当に褒めてあげれば、勝手に有頂天になる、ちょろい
ちょっと優しくしてあげたら、デレてた、ちょろい
個別に分岐したと思ったら、すぐHしてた、ちょろい
終わったと思ったらED迎えていた、ちょろい
シナリオのスケール大きいのに、ちょろいさん、まじ、ちょろい……うう
一応実力はある、ただ、味方になるとやっぱり、ちょろい
明らかに澄んでいる世界観が違う、流石パティ先輩ですね
姫乃と同じくAAランクの実力者、流石水無月学園
■刀条院京香
既にデレているヒロインを除けば、おそらく最速でデレる娘
真面目で堅く最初の警戒は強いモノのそれ以降は素直に慕ってきます
慕うといっても自分に自信がなく恋愛にまで至らない様子で
その後、直ぐに問題が起きて、直ぐに解決するのですがテンポが良すぎます
パティほどの性急さはなく纏まっているモノの如何にもサブな流れですね
ヒロインがお気に入りだったので少々物足りない結末です
Hシーンは何故か妙にマニアックだったりするのが一番のウリです
□葉月学園
所謂最終ルートです
聖女ルート3つをクリアした後に、このルートに入ります
こちらは13話もありません、最終シナリオですがそこまで長くありません
聖女3人を選ばないことにするルートです
■明智光理(メフィスト)
妹として久司の前に現れた少女、久司曰くして「悪魔」
1周すれば光理の正体に何となく程度には気付くのではないかと思います
この作品のキーとも言える重要キャラで、メインルート以外でも
久司にとっての重要なアドバイザーなり、進行役なり、盛り上げ役なりと、
常に活躍しながらも、ヒロインとのイベントではしっかり空気を読む
HHGにとってもなくてはならない良くできた妹になっています
光理と結ばれるルートは、設定上急ぎ足な部分もあって
イチャラブ分は少し弱めだったのが不満点でしょうか
他のルートでも十分すぎるぐらい活躍していたのですけども
最後の最後はご都合主義ですが、この作品はコレで良かったかと
【Hシーン】
葉月翠名:2
光明寺夢子:1
春秋詩子:1
サクラ・ウィンザー:1
アイリス・ウィンザー
雪見カエデ:1
サクラ+アイリス:1
時雨里姫乃:2
パトリシア・ランカスター:1
刀条院京香:1
明智光理:2
ヒロイン10人で14シーン
どのシーンも3回ほど体勢変えてと頑張りますが
流石にサブとはいえ1シーンのみとは寂しいです
メインでも2シーンで、最近を考えると物足りないでしょう
プレイ自体は、前戯1→前戯2→本番のような構成が多いです
少しだけマニアックなプレイもありますが、特に言及する点はなく
各シーン自体の濃さは悪くないですが数が数なので期待するのは酷かと
【全体通して】
メインシナリオは多少気になる部分があるモノの最後まで読ムコとが出来ました
各エピソードをテンポ良く区切っていたのが良い形で働いたのではないかと
また、勢力(学園)によってヒロインや展開が変わるので飽きにくかったのも良かったです
周回プレイについても、はじめからのやりなおではなく、シナリオの最後から
シナリオの分岐点へ繋いでいく方式にするのは結構面白い構成かなと思いました
また、こういった構造によって、EDがあっても通過点にされてしまいがちなヒロインについても
メイン3人含めて、別のルートが用意され、しっかりと結末を迎えさせているのも好印象です
気になったのは良くも世界を綺麗に描きすぎている点、最後のアレ含め、悪人は皆無で
久司朗を始めとする男キャラ、サブ含めるヒロイン含めて全員が凄く良い人で良いキャラです
如何にもな萌えゲーに不快感を示すタイプでなければストレス無く楽しめると思います
ただ、最初の設定だけ考えても、もう少し殺伐と危うい世界でもおかしくないと思うのですが
プロローグで見られた守護者と人の対立構造などの大きな問題点が殆ど語られておらず
コレを始め、極端に鬱(と言う程でもないですが)要素を隠すような配慮がなされています
一応、久司朗と家族の話はシナリオによっては度々登場するのですが、その程度です
特に気になるのが、未来の世界の話で、アウトラインが光理の口から説明されるものの
実際の描写がなく、久司朗から語られる何となくの不気味さで終わってしまっています
現在の話にせよ未来の結末にせよ暗くなる部分がそこかしこにあるのに殆ど見えないのが
逆に不自然なように思いました、尤も、この作風からしたらその選択が正解な気もします
下手に鬱要素を盛り込んでヒロインとの交流を楽しめないのも微妙な気がするので
個別のヒロイン攻略ではそう言った部分をあまり意識することのない展開が多いです
ただ、メインとなる3人は、聖女ルートでも語られたテーマがある程度残っています
しかし、サブヒロインとなると完全にその側面はなく、ヒロインの魅力に始終しています
そのサブヒロインですが、皐月学園勢の2人以外は少しあっけない尺なのが残念でした
特に水無月勢は攻略できるだけでも良いと思うべきかも知れませんがあまりにあっけない
ヒロインは気に入っているので、Hシーンの数と良い、全体の尺の短さと言い少し残念です
相手の術中と知りつつもFDを希望したい作品ですね
正直10人のヒロイン全員お気に入りなので、割と本気で期待しています
最初の期待とは違いましたが、これはこれでアリかなという作品です
能力ものとして頭脳戦や熱いバトルを期待すると正直肩すかしも良いところですが
守護者とそれ以外が存在する世界と考えるとこういう調理もまた有りかと思います
それにしてはもう少し、一般的な守護者と一般人の対立の危うさや、未来の問題点を
解りやすく提示してくれてもいい気がしましたけども……
キャラゲー萌えゲーとして見ると、萌え分は全体的に物足りない感じですね
それぞれ良いポイントはあるのですけど、もう少し分量が欲しかったです
流石に10人はよくばり過ぎかなと、ただ10人とも非常に良いキャラでしたので
難しいこと抜きにしたFDとか出してくれたら、良いな、なんて思ったり
キャラが気に入ればキャラゲーとしては楽しめると思いますが
「ピカレスク風」という言葉に惹かれるとちょっと物足りないゲームです
なんだかんだで良くも悪くも「ういんどみる」の作品だということで
ういんどみるの作品が好きなら問題なく楽しめる作品かと思います


