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伝統攻撃

でも、それって根本的に感想になっていませんよね?

グリザイアの果実 感想

感想は月曜日にとか言っていた気もするけど、アレは嘘だ

フロントウイングの「グリザイアの果実」の感想です

10周年作品になるらしいこの作品
それ故か、非常に気合いの感じられる作品となっています

攻略対象となるヒロインは5人、攻略自体は難しく無く
ほぼ同時期に分岐します、一人目のヒロインの分岐選択肢が現れ
スルーすると次のヒロインの分岐選択肢という形です
また、個別ルートの終盤でBAD ENDへ分岐する選択肢が用意されていますが
前の選択肢に戻る機能もありますし、全体としても選択肢も多くなく
プレイが阻害されることはあまりないかと思います

一応学園を中心に舞台は動きますが、あまり学生している雰囲気はありません
設定が設定なので仕方ない部分がありますし、頑張って学生しているようで
やっぱりどこかずれている感じというのは逆に正しいのかも知れませんが

共通ルートから個別ルート前半あたりまでは個性的なキャラによるハイテンションな
独特なノリを持った掛け合いが殆どを占めます、恋愛要素は個別に入ってから
と言う感じで、共通ルートではあまりそう言う雰囲気はありませんでした
個別になると気付いたらヒロイン全員がデレてたという印象なのですけど
そう思うのは、この物語の主人公と同じぐらい私が鈍感だからでしょうか
個人的には恋愛に反転する流れは全体的に少々性急かなと感じました

共通ルートはかなり長い作品なのですが、あまり個別への布石になっておらず
共通は共通として本番は個別からといった構成になっているので戸惑いました
長いなら長いで、もう少し意味合いを持たせて欲しかったところですね

個別後半からは各ヒロインが持っている暗い過去が明らかになります
ほとんどのシナリオで所謂鬱描写があり、結構キツイBADが用意されています
そこまでの雰囲気からのギャップも合わせて、へこむ展開になっています
ただ、BAD ENDでなければ救われない展開という事はないのでその点は安心を

複数ライターと言うことでそれぞれに癖はあったりするモノの
ヒロインやシナリオはどれも丁寧に描かれているかと思います
作品の雰囲気やキャラクターに魅力を感じれば充分オススメできる作品であるかと
ただ、多少女の子が不幸になる展開には耐性が必要かも知れません


以下、ネタバレを含む感想


【システム】
・画面は16:9のワイド
・次の選択肢へ機能アリ
・前の選択肢へ機能アリ
・キャラ別音声設定アリ
・ショートカットキー設定アリ
・各機能の確認画面ON/OFFアリ
・各シーンの回想アリ

システムはかなりかゆい部分まで行き届いています
プレイ進行の補助機能が充実していますが、あまり役に立つ機会はないですね


攻略要素自体はほぼなくて、終盤の選択肢で一発分岐です
蒔奈→天音→幸→みちる→由美子
の順番で分岐します、由美子はみちるに分岐しなかった場合分岐します
基本的に選択肢1つですが、幸のみ共通ルートの選択肢でないがしろだと
分岐することが出来ません、優しくしてあげましょう



【シナリオ】
■共通シナリオ
世間から隔離された学園「美浜学園」にやってきた6人目の学生「風見雄二」
その学園で一見平和にマイペースに生きている5人の少女達
しかし、ここにいる少女達は誰もが過去に傷を持っており
現在に至っても何らかの問題を抱えている者達ばかりであった……

多分そんな感じのノリで始まる共通ルート
胡散臭い雰囲気はあるものの、共通ルートは基本的に平和で
個別ルートに関連する情報は時々あるモノの、基本的に埋もれています

ここでは、序盤の各ヒロインとうち解けていく段階までは流れがあるモノの
そこから暫くは、特に何が進展するわけでもない日常が延々と続きます
ある種平和な学園を演出するためには必要かも知れませんが
個人的にこの共通ルートは少々長すぎるのではないかなと思います

勿論こういった掛け合いが非常に好きな方もいると思いますし
私も作品によってはしばしば、シリアスとか良いからこのまま馬鹿をしておいて
と思うことがあります、ただこの作品はどうしても冗長さが気になりました

各個別ルートの2倍以上あると思われるボリュームも勿論ですが
他には男キャラが不在であること、各キャラが濃い故ネタが定まってしまうこと
と言った感じが冗長さを覚える原因でしょうか、キャラが定まっているという意味では
一番主人公がそのパターンに当てはまっているというのがネックかも知れません
果たして何度目の唐突な例え話を起点としたネタふりだろうと感じました

あと、始終ハイテンションな会話の中にシモネタ成分が多いのも気になりました
別にエロゲーなんだし、ある程度は合っても良いと思うのですけど
それで笑えることは個人的には稀なので、苦笑することが多かったです
アメリカンジョークを前にしたみたいに、大げさに笑えばいいのかも知れません

長い共通シナリオ故か、おそらく複数のライターで書かれていると思われるのですが
時々キャラがぶれていると思うところがありました、これもキャラが濃い故
余計に違和感を覚えやすいのだと思います……気のせいの可能性もありますけど
特に主人公である雄二は結構独白では饒舌な部分もあるので、違和感が大きかったです
致命的なものではないので、このボリュームでは仕方ないのかなと思うのですけどね

後、個人的に気になったところで、この学園は学生が雄二を含め6人なのですが
この設定が共通認識でないまま書かれているのではないかと思う部分がありました
その場にいるヒロイン以外をさして「他の学生達」と表現する部がありました
別に矛盾ではないのですけど、この少人数の世界では違和感を覚える描写です
学生っぽい話も時々出てくるのですけど、それも似たような違和感が
そんな感じで複数ライターによる問題なのか私の気にしすぎなのかは解りませんが
この辺りを中心に、細かいところを気にすると色々ありました

さて、先にも書いたように個別のネタバレや恋愛描写は共通シナリオでは殆どありません
全くないって事はないのですけど、正直個別からでもシナリオの理解は困らないでしょう
この辺りがシナリオの冗長さに輪を掛けているのではないかと
プレイしていてシナリオが進んでいる気が全くしないのですよね、先が見えないのです
そんなわけで結構好みが別れる共通シナリオになっているかと思います
この辺りのノリは体験版でプレイすれば良く分かると思うので、アレが無条件で楽しめれば
特に問題なくこの共通ルートを楽しむことが出来るのではないかなと思います


以下、個別シナリオについて、攻略順(分岐順)に

■入巣蒔奈
一番最初に分岐するヒロインで、ちょっとお馬鹿なヒロイン
独特の言語感覚をしていますが、そこは、とある理由が絡んでおり
そんな過去はともかく、日常シーンでは良い無邪気系暴走キャラです
どのキャラクターにも良い感じに絡むことが出来る優秀なヒロインかと

一人目と言うことでチュートリアルと見せかけて一番強烈な娘です
ただ、雄二のキャラクターからして予想したシナリオとしては
コレが一番イメージに合っていましたね、故に以後ギャップに苦しむ嵌めに

GOOD ENDにしてもベストとは言いにくい結末となっています
チート主人公の逆転劇とかを期待するとパンチ不足かも知れません
それにしてもまともに身体能力を活かすのはコレと由美子ぐらいですが
BAD ENDはかなりキツイ展開ですが、個人的にはかなり好きな結末です
ビジュアルがしっかり用意されている分特別なエンドだと勝手に思ってます


■周防天音
共通でやたら親父ネタするから本当は純なキャラだろうと思ったらエロ担当だった
個別は行って暫くはエロイ事をしているようにしか思えないタイガーガールです
中盤からは体験版プレイ済みの方には既知と思われる過去のサバイバル編が始まります
極限状態に追い込まれていく少女達と言うことで立ち絵が一杯出てきますキャスト多い

ここで登場する重要人物の一姫、共通ルートで雄二が姉とか明言しています
それと体験版を知っていれば実はこのシナリオにサプライズはほとんど無いことに
サバイバル編は結構来るモノがあったのですけど、少々物足りない結果になりました
雄二が介在する余地が皆無というのもあるのですけど、体験版が……自己責任と言うことで

個々が終わると一応もう一展開ありますが、消化試合的な部分が大きいですね
一姫のシナリオがあればこのシナリオも布石となったのでしょうけど無いですし
バトル描写はあるものの、蒔奈から来るとやっぱり盛り上がりに欠けるかと思います

BAD ENDは結構酷い目に遭うのですけど、あっさり風味ですしね
GOOD ENDはかなり未来まで行きますけどこれは珍しいパターンですね
全体を通して未来へつながる結末を書くことが多いのは好感触です


■小嶺幸
命令されたことなら大抵のことはこなしてしまうメイド服を着た少女
その性質故かクラス委員長をしている、委員会の是非はともかくとして
結構、雄二と関わる部分が多いヒロインなのですけど、お話自体は良くも悪くも普通
非常に不幸な境遇にあることは解るのですけど、どの描写もやり過ぎかなと思ったり

全体的に強引に思われる部分が多かったですし、少し首をかしげるシナリオでした
GOOD ENDのアレは今までの流れからすると逆に更にトラウマになると思うのですけど
BAD ENDの流れも正直反応に困りました、車恐いですねということですか
ただ、下着が黒だったのでその部分では凄く良かったです


■松嶋みちる
正直、共通ルートや個別の一部では鬱陶しいキャラに感じていたのですけど
個別ルートを見て少しだけ考え方が変わりました、こういう娘嫌いじゃありません
他のシナリオと比較するとかなり個人的な話になってしまうので(幸もですが)
全体的に平和だなーという感じになってしまいます、蒔奈が強烈だったのでしょう

このシナリオ以外に幸や由美子でもそうなのですけど、精一杯頑張ったけど……
という流れが結構多く目につきました、簡単に変えられないってことなのか
それにしても、多分ライターが別だと思うのですけどなんとも言えない共通点です

終盤はみちるの中に存在するもう一つの人格が取ってしまっていますね
解決が後になったからそう感じるだけでしょうけど、中々皮肉な流れです
その設定もあるのか多少、ファンタジー要素を含んだシナリオになっているのも特徴
他でなんだかんだで厳しい現実的を見せる部分があったので、不思議な気持ちに


■榊由美子
誰にも分岐しないと由美子ルートに行くことになります
ライターによるのかルートによって全然受ける印象の違うヒロインです
なんだかんだで最初の方にうち解けるヒロインだけあるのか
解りやすいギャップヒロインというのが標準的な由美子なのかも知れません

シナリオ自体は蒔奈再び、といいますか蒔奈マイルドバージョンのような
全体的に流れが似通ってしまっているのですよね、ただし蒔奈ほど追いつめられていない
何となく、エロゲー的に楽しめてしまっているような部分があります
ここに来て、安心して楽しめる内容です、GOODもBADもそうへこむことは無いかと
最後にプレイすると結構爽やかな感じで終われて良いですが
タイトルを考えるとちょっと後味が良すぎるかなと思います、食べたら意外と美味しかった

Hシーンで身体つきがちょっとエッチだぞと思ったら
主人公の筋骨隆々の身体に塗りつぶされたのが一番インパクトが強いです
他のシーンはそれ程でもないのですけど、このヒロインのシーンだけやけに……


【Hシーン】
榊由美子:3
周防天音:5
松島みちる:2
入巣蒔奈:2
小嶺幸:4

回数は偏りがあるモノの、標準的なレベルでしょうか
天音は回数が多いですが、前戯のみもあるのでそこまで多いわけでもなく
マニアックなプレイなどはありません、コスチューム、野外ぐらいです



【全体通して】
非常に力が入っており、丁寧に作られた作品なのですが
複数ライター故なのか気になる部分があると意外と止まらない作品に
細かいところを気にしなければ雰囲気が合えば問題ないとは思います

共通ルートから個別前半はひたすらギャグ重視のテキストでひっぱり
個別後半でシリアスでへこます、定番ですけどしっかり作られていますし
そう言うのが好きならかなり合う作品になっているかと

ただ、どのシナリオも暗い過去を用意していたため、続けてやっていく内に
慣れてしまった部分もあり、一部やりすぎなシナリオでは逆に冷めてしまった部分も
個人的に幸シナリオは良くも悪くもやり過ぎているなと感じました

ギャグにしても共通で散々やったのに個別でもやるので食傷気味な部分があったり
最初は良いのですけど、何度も見ていると流石に飽きてしまうのですよね
この辺りは共通ルートのボリュームがもう少し短ければと思うのですけど

やたら、突っ込みばかり入れていますが、どのシナリオも楽しむことが出来ましたし
満足できました、共通は正直ダレ気味でしたが個別からは一気に進められました
後は、他所でも散々言われていますが雄二を中心とした話が欲しいぐらいですかね

全てを語るようなモノではないと思いますけど、一姫が出てくる天音シナリオを考えると
合っても言いかなという気がします、煽りは「6つ」の果実ですし雄二も含まれるんですから
由美子の終盤見る辺り自分で乗り越えた部分もあるでしょうが、簡単な話でもないでしょうし
美浜学園に着た意味を含めてどこかで決着をつけて欲しいなと思います

疲れましたし、多少しこりは残りましたが10周年に相応しい気合いの入った作品でした
FDがもし出たらおそらく手を出すのではないかと思います

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