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伝統攻撃

でも、それって根本的に感想になっていませんよね?

涼風のメルト 感想

Whirlpoolの「涼風のメルト-Where wishes are drawn to each other-」感想です
当初は正直スペルに自信が無かったメーカーですが
最近よく手を出している気がしますね、覚えたぞ(スペルを)
でも、サブタイトルの英語については覚えていません

さて、本作は選択肢によって展開が分岐する普通のADVです
ヒロインは5人で、すこしだけ攻略制限がありというところ
土地神こと「涼」は4人のヒロインを全てクリアしないと攻略できません
よって、このヒロインだけを狙うなら厳しい構成ですね
それを除けば攻略難易度的には高くなく意図したルートへ行けます

学園モノですけど、どちらかというと精霊に関する話が主で
学園ならではのイベントが登校と期末テストぐらいしか存在せず
ヒロインとの学園生活を期待すると弱い内容になっています

各ヒロインのルートは実際の尺的にもそれなりに長いのは確かですが
節目となる展開が複数存在するため、余計長いと感じるかも知れません
各ヒロインの魅力描写だけでなく、設定の回収も丁寧に描かれているので
話が長くなりがちです、シナリオの空気が合わない方には厳しいでしょう

逆に体験版などで雰囲気に惹かれた人はそのまま楽しめるのではないかなと
萌えゲーとして開き直った内容ではなく精霊設定がきちんと語られています
流石に、重厚かつマニアックな設定を期待する人にはお勧めできませんが
この世界の雰囲気や設定に惹かれたという方にはそれなりに楽しめる話かと


以下、ネタバレを含む感想など




Whirlpool得意路線のファンタジー要素の含まれた学園モノ
学生という身分であるモノの夏休みが中心である為学園要素は弱く
精霊や土地神とのヒロイン達の交流の方が物語の中心となっている
精霊とヒロインの交流と主人公との恋愛を両方描写しているため
シナリオが複数回山場を迎え、実際の尺以上に長く感じてしまう面がある
そのどちらかが合わないとシナリオが冗長に感じてしまうかも知れない
体験版での雰囲気やノリそして、何よりもテンポが合うかが
そのままこの作品のあうあわないを分けますので、確認の程を



街の都市開発で急速に発展している「御代町」
この街では土地神と精霊に護られた街として知られており
今となってはその存在を本気で信じるモノが殆どいないものの
何か理解できない事が起きると「精霊の仕業」と口にするような
身近な存在として扱われていました

一番の名残が10年に1度の「土地神祭」とよばれる祭で
土地神に仕える巫女が街の代表である神官の願いを伝えて叶えるという
儀式をメインに据えた街を挙げてのお祭があるのでした
そして、今年がその土地神祭のある年であり、街はにぎわっていました

「瀬川彰人」は神官の血筋であり、その関係から今年の神官役に決まっていました
そして、巫女役になるのは周囲は知らぬモノの彰人の幼馴染みである「椿捺菜」でした
巫女役は土地神に仕えるモノとして土地神祭のある日にしか顔を出さない存在
勿論今となっては、それを断ることも出来るのですが、捺菜は受け入れる様でした

そんなわけで、土地神祭までのわずかな期間に互い思うところがありながらも
何事もないかのように学生としての生活を過ごしていく彰人と捺菜
正体不明の巫女を探ろうと執念を燃やす「榎本佳華」を中心とした
郷土研究部の面々と共に部活を中心に夏を過ごしていきます

そんな中で彰人が見かけた図鑑に載っていないような奇妙な生物
他の人間には見えないらしいそれは、土地神の住む地にいる「精霊」
と呼ばれる存在であると捺菜によって教えられます

普段は土地神のいる禁則地からでないはずの彼らは
最近の土地開発によって結界が弱まった結果出てきたモノとのこと
そんなわけで、精霊の見える彰人は精霊の回収を手伝うことになり……


【システムとか】
なんだかんだで安定した部類に入るであろう「いつものWhirlpool」
データエディタはセーブデータのコピーや削除場所移動が出来ます
ADVパートとしては特筆する程の機能がありませんが、問題もあまりないでしょう
後はシーンスキップか次の選択肢までスキップがあると便利だと思うのですけどね

他におなじみの所で、一日の節目毎に行われるオートセーブ
77などにあったキャラクターや舞台の説明を補足する「TIPS」があります
もはやおなじみと言っても良いこもわた遙華氏のSD絵演出といったところ

シナリオ構成は二段三段の構えになっておりメインルートだけでは完結せず
各ヒロインのシナリオを終えるとそれぞれの「絆語り」が解放されます
これは各ヒロインに関係する過去のシナリオとエピローグが入った内容であり
「絆語り」を見ることで正式に各シナリオが完結する形となっています
プレイとしては各ヒロイン攻略語すぐに見ると良いでしょう
4ヒロイン全ての絆語りを終えると涼シナリオの「神語り」が解放されます


【シナリオとか】

■椿捺菜
今年の土地神祭より巫女として土地神に仕える事が決まっている幼馴染み
条件だけ考えればかなり悲劇的な存在ですが、それなりにフォローはされています
捺菜が巫女になると強く決心した理由は?ということ等結構核心をつきます
案の定、それが彰人に関わる部分があるので、先にやると辛いヒロインかも知れません
最終シナリオである涼と被る分もありシナリオの重要度は結構高いヒロインです

過去編にあたる絆語りでは逆に微妙な立ち位置だったりする捺菜
逆に現代編での関係が微妙にアレだった人が偉いフォローされたり
このあたりヒロイン毎にバランス取ったのかなと思ったりします

現代の幼馴染みとしての性能はかなりのモノです
久しぶりのお気に入り幼馴染みかもしれません
ある意味ベタベタですけど最近はあまり見ないタイプかなと
飄々と見せかけて実は……っていうの好きですよねWhirlpool


■榎本佳華
結構好悪を分ける出あろう、佳華のキャラクター
多分あのキャラクターが元になっているんでしょうけど
調整が難しいと思うんですよね、個人的にこの子は微妙でした
本人達が許しているから良いのではないかという説もありますが
もう少し、プレイヤーにも受け入れやすいレベルでお願いします

そんな彼女の印象を吹き飛ばすような凄いシナリオが後半にあります
町長のTIPSでなんとなくフォローはいりますけど、これは、うん、何だ
対する藤林さんが何のおとがめもないのが正直納得いかないかな
まあ、ちょっと他と雰囲気が違うような話になっていたと思います
言霊の能力もなんか無駄に凄くて色々とぶっ飛んでいる印象です

対する過去編での扱いは全ヒロイン中で随一と言っても良いでしょう
あんな差分用意されている辺り良いのか悪いのか微妙なラインですが
儀式における巫女の成り立ちが一応このシナリオで明らかになります
どくろマークのアクセサリーなくすだけで結構印象が違うものですね


■楸木原羽衣

原因不明の病を患う妹を持つ後輩
そんな家庭環境に育ったおかげか、しっかりものの後輩です
食事のバランスを考えろと注意してくる後輩は珍しい印象
逆に登場時見せた小動物的な魅力が影を薄めたのは残念
どちらというと妹ポジションはその妹の「優衣」ですね

最初から最後まで病に関するお話が中心で
全体的に忙しいシナリオの中で比較的纏まっている印象
それにしても二転三転するところがメルトたる所以


■柊月音

Whirlpoolの先輩が包容力にあふれた天然系女性なのは恒例です
ショコラの能力スゲー、あ、でも欠点あるのか……やっぱりスゲー
というショコラ無双が見られます、下手なバトルモノでは反則クラスの力も
こういったお話では意外と普通に登場します、言霊と言い……ねぇ

あと父親がなんていいますか別世界の住人、やっぱりバトルモノが始まるのでは
別ライターの作品ですけど堂ブランド「ねこ☆こい」の龍堂剛毅さんに近い設定
出てくる世界間違えている辺り含めて、コレがクロスオーバーって事でしょうか
あの人よりは幾分、いえ、かなり物わかりの良い人で、シナリオの障害ではないです

ヒロインとしては全体的にイチャイチャ分多めという印象
絶対スタッフに先輩好きがいると思うんですこのブランド

対して、過去編は一番扱いが外様のヒロインだったりします
他のヒロインの過去編では、他のヒロインが面識があるのですけど
この人だけ涼ととある部分で接点があるだけという扱いなのですよね
過去編の扱いも他と違いますし、特別枠のヒロインという印象


■涼

昔からずっと御代町を護り続ける土地神様
神語りを選択することで登場する涼風の完全個別シナリオですが
涼風の良い部分と悪い部分を解りやすく集約したまとめシナリオです
シナリオ見て作品を現す言葉が見つかったんです、欲張りすぎるんですよ

涼の負の分を司る「風」との関係、精霊の問題、10年前の彰人の問題
土地神と人の関係、結界の問題、土地神としての問題
全部このシナリオで書いちゃうわけです、合間合間にイチャイチャ入れて
ヒロインが可愛くて、そこに出何とか引っ張って貰ったんですけど
やっぱり実際の尺以上に長いと感じるのはこの怒濤の展開故でしょう

月音先輩で伏線張った風がクライマックスかなと思ったら序盤ですし
捺菜で語った彰人の問題再びですし、流石メインヒロインですねって
力の入り具合は解りますが、もう少し纏めて欲しかったなと

これだけやるが故に山積みだった問題が解決して大団円に迎えるのですが
もうちょっと問題を減らせなかったのかと思わなくもないです


【Hシーン】
1人贔屓もイジメもなく3回ずつ、涼を除いては最後の1シーンは絆語りにあります
回数は少ないモノの1回目のHシーンから張り切り気味で尺は長いです
プレイ自体は野外とコスチュームのバリエーションがある程度です
あと個人的な印象ですが、騎乗位好きですね、謎のフェチを感じました



【全体通して】
精霊と土地神の話が思った以上にしっかりしていて驚きました
その為、語るところが多めで、ボリュームが肥大化した気もします
気軽に読む萌えゲーを予想すると結構疲れる尺になっていますね

そのあたりのバランス感覚が77の時と言い微妙な部分がある気がします
それは作品のシナリオの良さ悪さとは別のファクターなのかも知れませんが
これも結構重要な部分ではないかとこの作品を見て思ったり

ヒロインとしてのお気に入りは捺菜と涼ですね、正当派な感じですが
どちらもヒロインとして定番ながらしっかりと仕事をしていました

作品が合う合わないかは体験版全体を楽しめるか否かが全てではないかなと
ノリ、雰囲気、そして特にテンポの面で合うかを確かめると良いでしょう

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