
そんなわけですたじお緑茶の「恋色空模様」の感想です
5ヶ月の大胆な延期が印象に残ったこの作品ですが
それだけの延期をした作品の出来は果たして?
次回予告とオープニングと前回のあらすじとアニメ形式を意識したAVG
ただ、他の作品とは違い13話でなく23話構成という長いお話になっています
個別分岐は21話から始まりますので、共通が非常に長いお話ですね
攻略できるヒロインは5人、サブ攻略やハーレムなどはないです
分岐は解りやすく攻略に支障はないでしょう、共通ルート中盤から
分岐の選択肢が出ますが、スキップが早いので2週目以降はそれほど手間ではないです
この作品で書きたかったモノは個別シナリオではなく共通シナリオではないか
というぐらいに、共通ルート後半からの力のいれ具合が凄いです
その為、各ヒロインが少々インパクトに欠けるモノになっている気がするのも事実
要素としては弱くないのですけど、完全な萌えゲーを求めると厳しいかなと思います
すたじお緑茶の作品らしく、画面の中を多くの登場人物が所狭しと動き回ります
演出の面やシナリオのボリュームなどを鑑みると延期しただけあるのか
非常に気合いの入った内容になっているのではないかと思います
ただ、その気合いの入れ具合がプレイヤーのお気に召すかは個人次第と言うところで
しかし、その判断基準となる体験版はある意味この作品を正確に紹介し
ある意味この作品の紹介の体を全くなしていないのでお奨めしにくい所です
1つのポイントとして地の文がほとんど?存在しないことを挙げておきます
以下、ネタバレを含む感想、ちょっと否定的かも?
制作者側の気合いが伝わってくる(気がする)作品
演出面などはシナリオが長い中でもしっかりと作られており
延期した甲斐はあると思わせるだけのレベルに至っている
ヒロインは体験版やOHPのキャラ紹介で魅力を感じたなら
それが損なわれるような展開はあまり無くしっかりと描かれている
しかし、作品自体はヒロインとの交流よりも共通ルートの
学院廃校を止めるための運動にこそ比重が置かれている感があり
純粋にヒロインとの逢瀬を楽しみたい人なら少し物足りない部分がある
個人的な好みを除いてしまえばしっかり作られた作品であると思われるので
雰囲気が合いそうなら、かなりお奨めできる作品でないかと思われます
母の仕事の都合で神那島にやってくることになった主人公「伊東誠悟」は
幼い頃よく遊びに来ていたこの島で、幼なじみの「服部彩」と再会し
喘息持ちのため東京から離れこちらで住んでいた「伊東美琴」と暮らすようになります
この島に移ってきてから数ヶ月、神那学院の学生として過ごしていた誠悟は
悪友達の悪事の片棒を担がされ武闘派の風紀委員に終われていました
その逃亡中に出会う、無口な少女「加納佳代子」、唯我独尊の風紀委員「篠原聖良」
そして、島の有力者の娘で学院の学生会長である「内海静奈」と出会いを果たします
誠悟の周りに(女性ばかり)人が集い始め、にぎやかになってきたときに
降ってわいた学院の廃校問題、性急なその決定事項にきな臭いモノを感じた誠悟は
仲間達と共にチームを結成し、廃校問題に立ち向かっていきます
そんな、学院での闘争を描いたちょっと(?)不思議な学院革命物語です
【システムとか】
UIなどのシステム周りは至って普通です、音声個別ON/OFFあり
パッドに対応、ショートカットキーも設定できます
Q-SAVEはショートカットキー対応ですので少々解りにくいです
まあ、作品の仕様上使用することはあまり無いかと思います
演出面では流石のスタジオ緑茶といいましょうかワイド画面でキャラが良く動きます
背景のアニメーションも細かいモノがあったりと目で楽しませてくれます
一画面に大量のキャラが登場するのもこのメーカーならではですね
それに合わせてかメッセージウインドウが自由に登場させられるようです
このメッセージウインドウは利点と欠点がはっきり出ているシステムです
利点はキャラを動かすときに演出に不自然さがなくなること、解りやすくなること
同時に台詞を表示させるという荒技を使うことが出来ること
どちらも多くのキャラを動かす上での良いところであると言えるでしょう
欠点はウインドウが小さくなりがちで、短い会話には向いていますが
地の文や長い説明台詞には改行が多く読みにくくなってしまうこと
この欠点故か、ライターの癖か驚くほど地の文は少ないです
二つめの欠点は、個人的な話になりますがキャラの顔と名前が一致しないこと
キャラが多い作品なのですけど、互いに好き勝手に呼び名を変えます
しかし、このウインドウではそのサイズ故か名前が表示されませんので
常に表示されないので覚える機会を逃すととっさに本名を呼ばれると解らなかったり
はい、完全に私の物覚えが悪いだけなんです
【シナリオとか】
■共通シナリオ
人によってはこれが本番となるでしょう
シナリオ的には間違いなくここにウエイトが置かれています
なにせ全23話中20話までが共通ルートになるわけですから
展開は上にあらすじに書いたように学院の廃校に疑問を持った誠悟達が
汚い大人の陰謀に立ち向かっていくという感じになります
全てこのお話というわけではなく
導入→各ヒロインのエピソード→体育祭→廃校問題→個別シナリオ
となっているわけですが、分量では廃校問題が実に全体の半分を締めます
そのなかでも随所にヒロインとの交流も描かれてはいますが
15話位からは完全に廃校問題となってしまうのでここが気に入るかがポイントです
正直ここまでウエイトが重いと思っていなかったので戸惑いました
物語の解決については実質ほとんど誠悟一人の活躍でどうにかなってしまいます
他のキャラも時々動くのですけど、最終的には誠悟の力という感じが強いです
気分的にはもうあいつ一人で十分じゃないかな状態です、本当に
その辺りのことを周囲全員が認めているのか、ヒロイン、男連中、敵役
そろって誠悟のことを高く評価します、正直不自然なレベルに感じました
物語上でもスペック高めに描かれていますが一部出来すぎなレベルですが
それにしても、持ち上げ方がわざとらしい部類にはいるでしょう、苦手な方は注意を
一番の問題はヒロインの出番すら食ってしまう所でしょうか
勿論個別に入る前にいくつかヒロインのエピソードがあるのですけど
どうも共通の本編である廃校問題との兼ね合いが悪いのではないかと想ったり
そして、廃校問題は誠悟のためだけのシナリオとなっていると感じました
男キャラも見せ場はあるモノのとりあえず作った感じで基本的には扱いが悪いです
阿部久志の扱いは誠悟と悪い意味での対比キャラクターになっていましたね
そして、万能とはいえ誠悟という学生一人が全てを解決してしまえる問題なのですよ
お話の規模としては学院どころか島全体の問題になってしまっているのですけど
敵役にしても誠悟がどうにかしてしまえば何とかなってしまう程度の相手なワケです
キャラによってはやるだけやっておいて、ちょっとした出来事で考えを改め根はいい人
という展開も見受けられます、根はというより前半と別キャラレベルに感じました
都合の言い分で妙に物わかりが言い大人の人たちが出てくる辺りも含めて
全てご都合主義で片づけても良いのかも知れないのですけど、改心(?)前の
描写とキャラが明らかに違うのが多数見られて何ともいえない気分になりました
言うだけ言いましたが正直、廃校問題前半当たりの流れは好きでした
一部、やり過ぎな行為もあってそこは、肯定しにくい部分もありましたが
キャラとの交流が大人数ながら良く描かれており、好きな雰囲気でした
この辺りの仲良し集団的雰囲気を期待していた部分が強いのですよね
ですので、個人的にシリアスの分量が増えすぎた辺りは拒否反応が
あとこの作品やたら犯罪やルール違反的なモノを軽々しく書いていないかと
きれいな優等生のままで何とかしろとは言いませんけども
正直この部分が一番この作品で引っかかった部分でしたね
■個別シナリオ
・加納佳代子
位置的に言えばメインヒロインでしょうか、神那島度は低いですけど
共通シナリオの時点でほぼ告白してるようなキャラでして全体的に扱いが良いです
個別に入ってからも十分にその魅力をアピールしてくれます
さて、共通の途中で暗殺者として生きており何人も殺してきたという重い設定が出てきます
正直、降ってわいたようなネタでぽかんとしたのですが、共通の流れと関連性はゼロです
刀持っているキャラという記号だけに収まらないと言えばいいのでしょうけど
何故こんなシナリオになったのかなと、あと最後語りすぎだと想いますよお兄さん
・篠原聖良
金髪ツインテールの唯我独尊風紀委員
誠悟に対して唯一対等に話し合えるヒロインというだけでも貴重な存在です
普段ぐいぐいと引っ張ってきたり、強引なアプローチがあったり
しかし不意打ちには弱かったりと、まあ抑えるところが抑えられたキャラですね
ただ、ヒロインとして最後までマイペース保てるタイプは珍しいですね
個人的に好きなキャラクターです
個別ルートでは、共通で退場した芹沢先生が再登場
4対4の試合は何て言いますか、やりたかったのは解りますけど
誠悟のおかげで、芹沢の言うとおり完全に茶番ですよこれじゃ
・服部彩
わんこの幼なじみと言うことで序盤からベタベタくっついてきます
対して、性的な話には弱くすぐ顔を染めたり、その割に妄想はたくましく
と、見ていて飽きない娘になっています、一家に一台……やっぱりいりません
くっついた後はさらに遠慮無くベタベタするわけですよ、男どもの反応が面白い
ただ、能力がほぼ無いため、シリアスパートでは完全に空気になります
共通ルートでも廃校問題になると何故か存在感が消えてしまう程です
この流れは個別ルートに行っても受け継がれます、基本誠悟がいればいいという
できすぎる誠悟に最後まで引っ張られていく彩、可愛いは正義で良いのかな?と
・内海静奈
島の有力者である内海家の娘で学生会長であるヒロイン
ぽわーっとした雰囲気だが、その実、頑固で強引な部分もあり
典型的なその場所には収まらないお嬢様といった定番キャラに
その分、終盤の流れも定番になっていますね、良くも悪くもという感じです
個別は籠の鳥とか翼とか翼とか静奈たんとか政略結婚とか
王道ですけどその分変に尖っていないので楽しめました
とりあえず結婚相手もう少しどうにか出来なかったんですか、コレ
関係ないですが祖父が途中から凄くマイルドになりますね
・伊東美琴
扱いが悪い気がする妹、典型的な素直になれないヒロインでもあるので
その辺りのお約束含めて受け入れられるならストライクでしょうが
正直この娘は素で口が悪いのではないかと想う部分があるのですよ
誠悟の兄として駄目な部分を上手く掛けていないのではないかと思います
設定通り兄のオタク的な部分を日常で描写できればいいのですけど
独白で少し語るのみであまり印象がないのが実際の所なのですよ
故に、美琴の反応は極端すぎて、ただの反抗期の娘みたいな存在に
典型的なので用法用量次第のヒロインなのですけど
扱いが悪いのは共通ルートで同居する妹なのに全体からして存在感が薄いこと
個別ルートではエッチをする都合で美琴ルート以外は退場になることなど
正直ライターが扱いに困っているとしか思えない部分がちらほら
美琴の個別シナリオ自体もちょっと微妙
始めて誠悟が駄目な兄になります、全体的におかしい流れに感じます
主人公が鈍感とか駄目な兄とかその域を超えてギャグになっていますし
山場に至っては美琴と関係ない部分でのシナリオになっています
しかし、このお話研究を行っていた身としては色々と複雑な気分になりますね
個別自体は短くないです
話数的には少ないですがそれなりにヒロインとの関係を楽しむ尺はあるかと
ただ、其れにもまして共通が凄くないのでやはりあっさり感が拭えないのですよね
途中10話ぐらいが別のゲームと思えば良いような気もしますが
■内海 誠悟
主人公です、一番容姿が可愛いからではなく一応語っておこうかと想いまして
勉学は優秀で、家事全般は得意で同年代の女性では適わないレベル
運動は得意ではないといいますけど、駄目ではなく本気を出せばそれなり
この設定が行き過ぎとおもったか自分のことはそんなこと無いと過剰に謙遜
しかし、周りがそれを大いに褒め立てて凄さを語ると言ったところ
戦闘能力は低いが、その分司令塔的な役割でメンバーを助けます
情報能力や分析力が不自然に高すぎて、ある程度たつと彼が動くと勝ち的な
それこそ京極○とか出てきた感覚にすら感じます、そろそろ締めだなと
それ故にシリアスでの緊張感が薄れてしまうという欠点があります
ある程度へまをしても、周りの大人が都合良く助けてくれたり
作品に愛されすぎている感じの去る主人公ですね
ストレスは貯まりにくいですけど、少々やり過ぎな感じもします
欠点といえば序盤の独白が無駄に多いことでしょうか
あと思春期まっただなかと思えるほど下着姿を思い浮かべること
キャラがそろうと掛け合いの頻度が多くなり身を潜めるのですけどね
個別ルートになるとまた独白が再会するのですけど
【えちぃとか】
各ヒロイン5回ずつ、2回戦もあったりとかなり力が入っているかと
誠悟は魔法とエッチの関係(隠語)的な人間なのでそっち系のプレイに謎のこだわりが
田舎故か野外プレイが多い気がします、最近田舎=野外というイメージがついてきた
【まとめ】
個別ヒロインは妹を除いておおむね満足ですし
掛け合いなども楽しむことが出来ました
演出なども気合いが入っておりその辺りも良かったです
長さが長さですので多少のなかだるみはあったモノの
特に滞らずに最後まで読むことが出来ました
ただ、どうしてもシリアスな部分のノリが致命的に合いませんでした
理由については色々言ってますけど私の好みの問題ということで
細かいところを気にせず楽しめたら良かったのですけどね
どうしても監視カメラで気になり始めて、暗殺者話辺りから完全に
ヒロイン個人の魅力は十分で個別のイチャラブは十分楽しめました
その部分と全体の掛け合いのノリはあった部分でもありますので
そちらの方だけでも十分この作品を楽しめたという面もあります
お気に入りは聖良と静奈でしょうか、彩も好きです
全体的に悪しように言っている気もしますが
作品としては十分完成されているモノではないかと
正直、難癖つけているだけと自分でも思いますし
各ヒロインと雰囲気が気に入ったならそれだけでも楽しめると想います
ただ共通ルートが多いことと完全な萌えゲーではないことだけ少々注意をしてください


