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伝統攻撃

でも、それって根本的に感想になっていませんよね?

凍京NECRO 感想

【ブランドHP】ニトロプラス

【概要】
2199年、世界的な氷河期で都市機能が停止する中、復活を遂げた日本の首都「凍京」
対寒冷のインフラ「ホットパイプ」で張り巡らされた歪な街は表面上平和を保ちながらも
裏ではリビングデッドを操ってのネクロマンサーのテロに脅かされる日々を送っていた

リビングデッドなどの特別生死者の追跡と対処を任された委託業者「生死者追跡者」で
若いながらもトップクラスの成績を挙げている「臥龍岡早雲」と「牙野原エチカ」は
副都知事誘拐事件の主犯格とみられるネクロマンサー「唐雲山」の追跡の最中に
「宝形イリア」を自称する、記憶を失った不思議な少女を保護することになる

イリアは有名な仮想環境ソフトの製作者として知られる名で、半信半疑であったが
口座の額を前に、納得せざるを得ず、金で雇われ、イリアの記憶を戻す手伝いを
解決が見られない、副都知事誘拐事件の追跡と平行してやっていくことになる

イリアはネクロマンサーの精神的支柱である「ミルグラム」率いる「研究室」を始め
多くの組織から目をつけられており、思いもよらぬ大きな戦いへ巻き込まれていく

果たして、早雲とエチカはイリアや周囲の仲間を守り抜くことができるのだろうか?



【システム】
・オンライン認証あり
・画面16:9
・キャラクター別音声設定あり
・シーン戻し機能あり

選択肢は2回のみで、1箇所に固まっているため困ることはありません
クリア後「再提案」が登場して、選択すると1回めの選択肢から開始となります
これで、一応選択肢でセーブをしてなくても、困ることはないという感じですかね

シーン戻し機能は、セリフひとつごとではなくシーン単位になっています
画像でだけ表現されるので、良く覚えていないとどこに飛ぶか解りにくい気もします



【仕様など】
ダブル主人公で、ルートは4つあります、一応メインヒロインが各ルートにいるのですが
あまり、主人公達がヒロインを攻略するみたいな感じでないルートもあったりします
多少ネタバレになりますが、定番として4ルートクリア後にタイトルに新しい項目が……

中盤の選択肢2回でルートが決定し、そこ以外は一切選択肢がないため、悩む所はないです
クリア後は再提案を選ぶことで選択肢から再開できるため、セーブ無しでも安心です
攻略順などに制限はありませんが、一応イリアを最後にしたほうが繋がりは良いと思います

選択肢は2回とも左右の2択で表示され
・左左で「宝形イリア」ルート
・右左で「義城蜜魅」ルート
・左右で「阿蘇霧里」ルート
・右右で「コン・スー」ルート
となります、参考までに


【雑感】
氷河期に襲われ、荒廃した未来の東京を舞台に送られる、バトルやアクション中心のADV
リビングデッドやネクロマンサーなどから想像できるように、多少グロ描写などがあるも
悪趣味なスプラッタが中心ではない為、血がいっぱい出るアクション位の認識でよいかと
脳(見た目は綺麗)をいじられるシーンが有る位で、エグいのはあまり絵におこされません

その性質上、ダークになりそうな印象ですが、どのシナリオも読後感自体は悪くはなく
陰鬱になるような作品ではないので、鬱をそこまで強調するような部分もないです

先に言ったとおりアクションが中心であり、今回は3Dモデルを使った表現が売りで
基本的には派手なアクションを見て、悪いやつを倒していくような作品になっています

逆に、スプラッタ満載、救いようのないダークなストーリーを求める方にとっては
物足りない部分はあるかもしれませんので、そちら方面の過度な期待は禁物です

あと、Hシーンはあり、要所要所濃いシーンはあるのですが、抜きとしては弱いです
特にヒロインとのシーンはお行儀良く1回ずつとかなので、期待すると肩すかしでしょう
18禁ゲームということで、描写する部分は容赦なく描写をしているのですけれども
抜き目的としてではなく、表現が規制されない為の18禁という感じは相変わらずです

とにかく、演出に力の入ったADVという感じで、ニトロプラスの実力が垣間見れる作品
美少女ゲームの開発でもここまで出来るのだという一つの大きな指標となりそうです
ただ、演出に力を入れたことはわかるものの、そこを強調しすぎているきらいもあり
見方によっては過剰さが鼻につく部分もあります、システム周りはそのあたり顕著です
この意慾的な挑戦や、力の入れ具合には驚くものの、肌に合うかは人を分けそうです

昨今のADV(あくまで18禁という範囲ですが)では類を見ないぐらい演出に力の入った作品
という部分は間違いなく、雰囲気や世界観に惹かれるならば間違いなくお勧めできます


以下、ネタバレを含む感想です



【ヒロイン】
■宝形イリア
早雲とボーイミーツガールした不思議な魅力を持つ少女、20世紀のオタネタに詳しい
正体不明とされていた環境ソフトの開発者であると思われるが記憶に欠落がある
サブコンとコミュニケーションをとれることから多くの組織に狙われることになり
イリアとともに行動することで、思わぬ大きな事件に巻き込まれていくことに

そういう性質を持っているのですが、早雲と互いに惹かれていくまでが早過ぎるような
という、こういう作品が陥りがちな現象にもろにハマっている部分があったりします
見ていて可愛らしいマスコット的魅力を持っているヒロインであるのは確かかなと

事件の中心ですが、一番の厄介者の研究室にとっては手段みたいなものなので
意外とルートによっては蚊帳の外になったり、比較的安全だったりするのですよね
4ルート中死ぬのが本人ルートだけなので、そこまで悲劇のヒロイン感はなかったり

そういう意味で、最後のSEARCHでサブコン必死となる部分も、あまり思う部分もなく
この点を受けて、最後にイリアルートにするべきだなと思ったというのは内緒です
プレイ自体は、特に意識せず最初にこのルートを選んだため、色々齟齬が生まれました
どちらかというと、鉾康さんが次にやった霧里ルートでアレだったほうに思う所が……


■阿蘇霧里
軍警察の少佐でエチカの幼なじみで、エチカの良き協力者でもある、姉のような存在
牙野原親子の関係をなんとかしたいとおもっており、色々フォローに回っている
優しげな雰囲気のある女性だが、優秀な成績で若くして少佐となっており正義感も強い

一番ヘビーなルート、他のルートだと味方である軍警察が敵となるわけですから
あまり百合とかレズが得意ではない私として、微妙に苦手意識があったのですけども
そこが全然気にならないぐらい、主要キャラが死にまくるお話になっています
そして、百合とかが吹き飛ばすぐらいの衝撃がある鉾康さんの秘密が……そっちかー
過去を秘めていて変化球があるのは村正でもあったんですけど、武雪さんモテすぎ問題


■義城蜜魅
早雲達が所属する鴉済生死者追跡事務所とはライバル関係にある生死者追跡者
超音波振動カタナ・ブレードをあやつって剣法で戦う世界観の少し違う世界の住人
その性格や設定からどこの退魔忍的な娘だが、扱い的にもそっちよりになっている
基本的には負けず嫌いで素直ではないが、早雲を前にするとわかりやすい態度になる

一番美少女ゲームっぽいラブコメが繰り広げられるルートで、早雲の表情も柔らかい
急速なボーイミーツガールが展開されるイリアよりもとてもヒロインをしている
役割分担とはいえ五勝との決着を着けるのがエチカなのは、因縁が弱い気もします
いえ、どのルートでもケンタウロスのHiFiと決着を着けるのは早雲以外なんですけども
決着が全体的にあっけない気がするのもこのシナリオの特徴ですね、特にパブロフ

蜜魅はサブでも美味しいキャラで、取り敢えず死ぬ死ぬ詐欺がすさまじいキャラです
どのルートでも一度は死んだ扱いにされますが、どのルートでも生きているのが凄い


■コン・スー
超ゲットーの隅に存在するジャンクショップ「雪ニルヴァーナ」の店長を勤める少女
情報屋としての裏の顔を持ち、そちらの方面での活躍のほうが取り沙汰されている
ハッカーとして屈指の腕前を持ち、鴉済生死者追跡事務所は度々お世話になっている
マゾヒストで、偶に早雲やエチカに虐めてもうら関係で、早雲の方が相性は良い様子

性質上、早雲中心とおもったのですが、話上はエチカのほうが相性が良いようですね
コン・スー自体、自身のルートではヒロインという感じではなく、主人公しています
そもそも、このルートに突入する条件が主人公2人のリビングデッド化になるわけで
Hシーンに発展することもなく、気づけば、コン・スーの成長物語になるのは必然……
天知さんが非常にあっけなかったのも印象的です、活躍されても困りますけど



【Hシーン】
・宝形イリア:1
・阿蘇霧里:1
・義城蜜魅:2
・コン・スー:2
・オルガ:2
・鴉済燎子:2
・渚神妻:1
・ソフィア:河原崎:1

主人公とヒロインのシーンは基本1回ずつとなっています
コン・スーは早雲とエチカでそれぞれ1シーンずつ、どちらもヒロインルート以外です
オルガは1シーンはエチカともう1シーンはコン・スーにヤラれるシーン
蜜魅は早雲ともう1シーンはオルガにやられるシーンという簡易です
ソフィアは部下と変な触手とともに犯されるシーンと言う感じです
燎子はサブキャラである時尭のシーンと過去に五勝や時尭を交えてのシーン

どちらかというと女性と女性の描写が多めです、オルガとエチカが大活躍ですね
早雲自体は、コン・スーを除けばメインルートで1回ずつ頑張るのみで基本竿役として弱め

取り敢えずあまり、主人公とヒロインの関係を期待すると弱い感じですね
他もあまり回数があるわけでなく、バリエーションには富むものの抜きとしては弱いかと

CGモードは普通なのに回想モードはホログラフメモリーを使うため微妙に使いづらいですね
あまりHシーンの回想を繰り返すゲームではないでしょうが、それにしてもと思う部分です

また、この作品、Hシーンは多くなくそれをメインとしない18禁作品です
ただ、本作では人はリビングデッドに欲情しないという設定が加わることで
Hというかセックスを行うことに意味をもたせた様な感じになっています
エロゲーというより18禁作品でありながら、作品中に必要な描写としてセックスがある
というなんんか理屈っぽい感じでHシーンが配置されているような感じになっています



【まとめ】
他では類を見ないほど演出に力が入れられた意欲作です
最近ご無沙汰だった美少女ゲームながら手を抜かず、それどころか非常に力の入った内容で
ニトロプラスのブランドの本気とそのパワーをまざまざと見せつける作品となっていました
大きい美少女ゲームブランドは他にもありますが、このレベルが作れるのは他にはなさそう
そんな他を寄せ付けない、圧倒的なパワーを見せる作品となっていたかと思います

ただ、過剰な演出は作品のテンポを割いているように感じられる部分も多々あります
アクションモノとしてはテンポが命の部分もあり、演出とテキスト描写を交互に行うことで
そのテンポを崩してしまっている感じがあり、そこがこの演出方法の弱点と言える部分かと

システムまわりは演出の最大の弊害といいますか、セーブロード周りと起動はもっと早くても
演出が派手なのはいいですが、このあたりの足回りは軽くする方を重視して欲しかったですね

テキストと演出については、立ち絵がある場合でも表情の変化などをわざわざ書くのは
美少女ゲームのテキストとしては蛇足な部分がありましたが、今回は3Dで細かく動くことで
人物の動きの描写すらテキストに書くのが蛇足になっている部分もあるのですよね

ただ、そうなるとほぼテキストを書くことがないので、ほぼ3Dモデルを動かしているのを
見るだけのアニメやムービーを見てるだけの作品となりそうなので難しいところですね
演出として素晴らしいものの、これがADVのあるべき進化かというと色々疑問はあります

また、気合の入ったアクション演出ではあるものの、どうしてもアニメ的な描写となるため
実際に3Dモデルでやってみるとコミカルに映る部分がいくつかありましたね
正直、このあたりは1枚絵で描写したほうが想像力も働きハッタリが効いたのではないかなと

そういう部分もしばしば、3Dモデルも、美少女ゲームで派手にアクションさせるぶんには凄い
ではあるのですけど、PCやPS4の一般向けのソレに比べると拙い部分があるのも確かでして
そのあたりこの表現を突き詰めていくことの意味は?という部分もあったりします

アクション演出についてはなんか悪い方にばかり言ってますが、プレイ中は熱中しましたし
最後まで飽きること無く読めたその熱量の高さは確かで、演出もその助けになっていました

シナリオとしては、アクションにリソースを割いた感じで全体としては短めな印象
4ルートあるものの、3津の勢力のどこが最終的に勝利するかの違いではあるわけですし
設定を含めて丁寧に描写していたので、その丁寧さには頭がさがる思いはあるものの
1周目はともかく、2周目以降はよくも悪くも展開が読めてしまう部分があるのですよね

リビングデッドの扱いも便利過ぎるのが少し気になりました、いくらでも騙せる訳で
気づいたら仲間がリビングデッド化してましたというどんでん返しが多かった印象
早雲とエチカのリビングデッド化も、便利で、死ぬ死ぬ詐欺が横行する形になります
ある意味何でもありで、なんでも疑ってしまうような状態になってしまうので
新しい展開が来ても、なんだか受け入れてしまって、感動や衝撃が薄れていきました
気づかぬ内にプレイヤーのリビングデッド化が進行していたという展開なわけです

そういった決定的瞬間を、引き延ばす病者が多いのも気になる部分ではありました
衝撃の展開が番組の後でを連発するテレビはなんだかんだ文句言われますけど
この作品はもろにソレが何度も行われるのですよね、場面転換の演出も長く
クライマックシーンでこれが繰り返さえると、テンポの悪さを感じてしまいます
1周目こそ良いのですが、2周目は種がだいたい割れるので余計にもどかしい感じです

あとはサブコンとリビングデッドでしょうか、感情云々で結びつくのですけども
基本的には別のテーマとして扱ったほうが良かったようなという部分が強いですね
サブコンはグランドを持っていく重要な要素ですが、終盤の詰め込み感があります


文句ばかり言ってますが、間違いなく楽しんだ作品ではあります
非常によく出来た作品だけに欲が出て、細かい部分とかが気になってしまうというか
その辺りは、設定とかもっと読み込むと解決する部分もあるのでしょうけども
基本は、少なくとも1度目のプレイは細かいことは気にせず、アクションを楽しむ
痛快な娯楽モノみたいな感じで最初は楽しむのがいいのかなという感じがしますね


と、グダグダ言いつつも最後まで手を止めること無く楽しめました
これが、紙芝居系ADVのあるべき発展の形や、到達点とは思いませんけども
一つの進化の形として、更に突き詰めて欲しいと思わされるものでした

正直、現在の展開でニトロプラスの立ち位置は色々と思うところがあるのですけど
こういう形でまた、なんらかの作品が発表されるなら手を出したいと思いました
リリースされる限りは、目の離せないブランドであると再認識させられた作品です

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