
【概要】
「長沢悠人」は現実のコミュニケーションを苦手としている二次オタを自覚する学生
今となってはすっかりと勢いを失ったSNSサイト「IRIS」の世界にいまだ浸り続けており
アバター「ラウンダー」の可愛いキャラとエッチなことをしたいなどと淡く夢見ていた
そんな悠人のスマホに「こころリスターター」というアプリがインストールされる
かつて都市伝説にもなったネット世界へ行くことができる魔法のアプリ「こころナビ」
をベースに謎のラウンダー少女「アルファ」が改造した次世代版ともいえるアプリである
ラウンダーと触れ合える悠人にとって夢の様なアプリであったが、ネット世界へ行くには
ナビ銭と呼ばれる現実の異性とのコミュニケーションで得ることができる通貨が必要であり
現実でもコミュニケーションを取る必要が出てきてしまい、仕方なく人と触れ合うことに
その影響か、こころリスタの効能か、思わぬハプニングやイベントに巻き込まれていく悠人
果たして、悠人はアルファが否定する「真実の恋」を見つけ出すことができるのであろうか
【システム】
・画面は16:9
キャラ別の音声切り替えもない最低限の機能となります
スキップ系は選択肢のシンプルさから必要ないのでそこまで問題にはなりません
【その他、仕様とか】
ヒロインは6人、特に攻略制限などはありません、最初からアルファルートにも入れます
シナリオ途中に選択肢がありますが、共通ルートの終盤に解りやすい選択肢があります
ヒロインの一人メルリーチェのみ分岐場所が離れているのでそこだけ注意が必要ですね
どちらにしろ分岐箇所は一目瞭然ですので、攻略自体は容易となっています
【雑感】
舞台は近未来の日本ながらも、ゲームとしたはどこか懐かしい雰囲気の作品となっています
人とのつながりを苦手とする主人公が、こころリスタを通して成長していき恋愛する
尖った題材でもなく、萌えやエロ重視という特化型ではないオーソドックスな恋愛ADV
ただ、ヒロイン6人のうち2人が実の妹と言うのは非常に尖った部分と言えるかもしれません
ヒロインの構成などを見ると前作に当たる「こころナビ」を髣髴とさせるものは多いです
しかし、前作のヒロインが一人登場する以外は、こころナビに引っ張られることもないので
前作を知らずとも問題なく本作は楽しめるようになっているかと思います
ヒロインは一人を除き、主人公に共有では表面上は好意的な部分を殆ど見せてくれませんし
コミュ症からの成長が描かれるため、多少説教臭い部分もあるなど手軽さを求めると微妙
話のテンポは良いのでダレずに楽しめ、個別自体もさくっと終わるようになっています
最近のウリを濃縮した作品が好みな方には物足りないかもしれないというところですが
逆に濃い味に疲れてしまった人には調度良い塩梅の恋愛物となっているかもしれません
ヒロインの紹介を見てどこか惹かれる部分があれば手を出しもいいのではないかなと
以下、ネタバレを含む感想です
【ヒロイン】
■長沢星歌
悠人の妹その2、雪音とは双子であり雪音が姉、星歌が妹という立場になっています
悠人以上にコミュニケーション能力に問題があり、スマホの合成音声でしゃべる徹底ぶり
姉の雪音に対しては素直であり、また恋心を知っており、気遣っている素振りがある
アルファの差金であったり、こころリスタの副作用だったりと外部的な力が多く作用して
どこかなし崩し的に関係を持ち、はっきりと想いを確認しあわないまま関係が続きます
星歌の態度も否定ではないものの肯定でもない、はっきりとしないものとなっており
それこそ、星歌が今まで悠人に対して言及していた問題そのものに当てはまる感じで
決めきれないグダグダな感じがある意味兄妹らしい部分という感じなのでしょうか
星歌自身は雪音のことを知って消極的でありながらも、意識していくようになっていき
と劇的なイベントはないものの兄妹からの関係の発展がダラダラと書かれていきます
素直じゃないだけで、慕っている部分があったのはエピローグで明かされるわけですが
こういう劇的でない感じの兄妹の恋愛模様っていうのは前作の凛子に近い感じですかね
■長沢雪音
悠人の妹、コミュニケーションが得意と言えない長沢家の中では唯一社交的な性格である
妹ではあるが、家事をにない家族を心配するなど姉というか母的なポジションとなっている
お節介な性格ゆえに、兄の恋にも気にかけているように見えるのですけど……
幼少の出来事から悠人に恋心を抱き、倫理観から諦めつつも捨てきれず想いを燻らせている
思いが明確に描かれるのは星歌と自身のルートですが、他ルートでも付き合い始めると
明らかにショックを受けているような行動が書かれており、なかなか愛の重いヒロインです
倫理観を盾に諦めようとする雪音に対してなんとか食い下がろうとする悠人へ
昨日今日の新参者に言われなくてもずっと考えてきたと言葉を投げるシーンは素敵です
とはいえ兄妹の関係について言及する部分もありますがそこまでこじれる感じもありません
雪音の積年の思いを感じつつ、気づいたら猫耳が生えていましたという感じでしょうか
正直終盤の展開は力技になっているなと感じてしまいますね、このシナリオに限らずですが
■神波さち
幼なじみにあたる少女、正義の味方にあこがれており、特に兄のことを尊敬して慕っている
多少暴走気味な所があり、衝動の赴くままに、危ないことにも首を突っ込んでいく場面も
たまに体を張ってさちを見直す素振りがあるものの、基本は兄が中心の猪突猛進娘です
解りやすく主人公の成長が描かれており、さちもそれに好意を抱く様が描かれています
非常にストレートな話となっています、告白を受けてからのさちは可愛い部分も多く
妹キャラとして覚醒したり共通ルートの時と大きく印象が異なるヒロインとなっていました
喫茶店のユニフォームなどが顕著ですが、しおらしい姿だと非常に好みの容姿なのですよね
ゆっくんという少し幼い呼び方も、そうなると非常に心地よく、個別で化けた娘ですね
■真名井真理歩
電網研究部(アミ研)の部長を務める先輩、痴漢と誤解される最悪の出会いを果たすことに
雪音の「パリコレ先輩」という言葉通り恵まれた容姿でスタイルも抜群と見せかけて……
端から見るとクールビューティな女性だが、悠人と同類の二次コンという残念な美人です
プレイヤーとしても初対面の印象が微妙な先輩ですがどんどんメッキが剥がれてきて
どんどんかわいいキャラクターへ変貌していくことになります、可愛い生き物です
黙っていればハイスペックのクールビューティなんですが、そこまで徹底することが出来ず
口を開けばどこかずれている、少し残念なオタク女子となっています、美人なんですけどね
■メルセデス・ハポン・ウレニャ
スペインからの留学生、日本の知り合い(凛子)にかなり無理を言ってやってきた様子
初対面から、悠人には好意的で、素直さが曲者揃いのこころリスタヒロイン勢の癒やしに
逆にこのヒロインがやり過ぎと違和感を覚えてしまうあたりが本作の魅力だったりします
とは言え、独特のイントネーションや言動は非常に可愛らしく素直に楽しむのが吉かと
さちと並びラウンダーが解りやすいヒロインとなっています、隠す気もないでしょうが
端から見ると特にコミュニケーションに問題があるとも思えないメルチェが
こころリスタの所持者となっている理由は……という部分で親子の問題が語られます
凛子に無理を言って留学してきたという辺りで一応説明はされているのですけども
その辺りをこころリスタを介して成長して、悠人の後押しをうけ関係が修復する
という、シンプルな話になっていまして、基本はメルチェの可愛さを楽しむお話です
■アルファ
「真実の恋」がないことを確認するために悠人についてまわる謎のラウンダー
「こころリスターター」はアルファが「こころナビ」をベースに作成したアプリであり
アルファ自身も悠人を利用してリアルの世界に出ることができるようになっている
感情が表に出ないタイプであるが悠人との交流で徐々に感情が芽生えていくことに……
本作のメインとも言えるヒロインで、攻略する場合は最後に持ってくるのが吉でしょうか
真実の恋の相手として自身が選ばれたことから戸惑いながらも、段々と感情に芽生え
仲が深まるもののそこからラウンダー故の問題が生じて……という非常に王道な展開
感情がないというか感情の現し方をよくわかっていない反応が非常に可愛いと思います
他では突然去っていくアルファですが、去ってしまう理由など設定回収もされます
凛子が活躍したり、悠人が男らしい部分を見せたりと総決算な内容となっています
とはいえ、全体的にあっさり気味の内容で、余韻にひたる暇はないかもしれません
しかし、こころリスタの集大成的シナリオとして綺麗にまとまったシナリオになっています
【Hシーン】
・アルファ:3
・長沢星歌:5
・長沢雪音:4
・神波さち:3
・真名井真理歩:4
・メルセデス・ハポン・ウレニャ:4
回数としては3,4シーンずつですが、1シーン自体は結構あっさり目になっています
星歌が多いのは彼女の性質上自慰行為が多いのが理由で、優遇という感じではないです
一部シーンにはSM的というか道具を使って楽しむシーンが混ざるなど特殊なプレイもあり
ただ、足とか胸とかそういった前戯的なプレイは口以外殆ど無く軽めのプレイが多いです
一部ラウンダーとのシーンも有るのですが、全員がフォローされるわけでもないですね
キラリあたりは人気がありそうなのですが、その辺りは綺麗に外している感じです
【まとめ】
こころナビ好きな人にはまぎれもない正統的な続編としてお勧めできる作品
作品の雰囲気や空気が気に入ればありですが、万人にお勧めできるかは微妙ですね
こころナビのファンとして贔屓目に見てしまう部分があるので、個人的には○
だったのですが、各シナリオを改めて見ると、特筆する部分が無かったりしますし
大げさすぎないキャラの性格付けが良くも悪くもという感じであっさりした印象です
ヒロインは設定を見るとどれも濃いキャラばかりなのですが、派手な展開などはなく
それぞれがもつ心のわだかまりや問題をこころリスタを通して成長して解決する
というのをあっさりと描写しています、イチャラブを含めて個別部分は短めですし
しっかりとヒロインの可愛さを堪能したいという方にも物足りない内容ではないかと
ただ、コミュ症というべきか、互いに上手く言葉が伝えられない者同士による会話の
間の悪さや微妙な空気が上手く描かれており、その辺りがこの作品のウリという感じで
特にアルファだったり、真理歩だったり、星歌辺りのぐだぐだした会話描写が楽しい
主人公は所謂二次コンをこじらせたようなオタクでヒロインも似たような娘がいますが
オタク的な描写もやり過ぎない感じで、あるあるという感じで共感できる部分も多く
独特のゆるい心地よさを持っている雰囲気がこの作品の気に入った部分ですかね
他にこの作品のウリといえば、実妹のヒロインが2人も存在することでしょうか
その辺りが苦手な人にはまず薦められないという感じにはなるのですけども
血の繋がりで散々に気落ちするような展開はあまりなく、結ばれるまではあっさり
結ばれてからもアッサリという感じで、実妹ならではの禁忌をあまり描いていません
ただ、妹との関係の描き方が恋人同士というわけではない独特の距離感が心地よく
その辺りが、前作の凛子シナリオの二人の関係が雰囲気が好きな人にはおすすめです
凛子は飛び道具で結ばれましたが、今回は普通に結ばれるあたりは時代の流れですね
妹を初めて全体的に細かい部分は描かずはぐらかしている部分がありますが
その辺りのゆるさが良くも悪くも売り、雰囲気や空気を楽しむ作品という所
昨今のユーザーのニーズに応える濃くはっきりとした味付けの作品とは反しますが
こういった雰囲気や空気を楽しむ作品もたまにはいいかなということで


