
【あらすじ】
とある事件をきっかけに教師としての道を諦めかけていた「鷺ノ森透」
そこに恩師「久能」から、空に浮かぶ島「ライゼルグ」にある
女学院の教師が足りない為、働かないか?と話を持ちかけられる
教師としての道に迷いがあった透であったが、恩師久能から励ましを受け
もう一度、ライゼルグという空に浮かぶ島の学院の教師として歩もうとする
空の島での生活は地上とは異なる部分がいくつもあり、それに戸惑い
新鮮な体験に驚きながらも、女学院の学生たちと交流を深めていくことになる
一度は諦めかけた教師としての道を再会した透はライゼルグで何を成し遂げるのか?
【システム】
・画面は16:9
・キャラ別音声設定あり
・次の選択肢へ進むあり
・前の選択肢へ戻るあり
・バックログジャンプ有り
・クリア後のおまけシナリオあり
・立ち絵鑑賞モードあり
必要なものは殆ど揃えられているかと思います
各ヒロインの分岐が少しわかりにくい気もしますが
シナリオジャンプので困る事は殆ど無いかと思われます
【ヒロイン】
■シャーリィ・ウォリック
ライゼルグに住んでいる少女で、議会代表の兄を持つ
基本的には真面目な優等生ではあるが、明るく素直で話しやすい娘である
透に対しても学生と教師の垣根を越えて気軽に話しかけてくれる
趣味は同人活動であるが、隠しており、ついでの絵が評価され戸惑っている
創作活動をする身であるため、ひとたび妄想すると止まらず暴走していく
想像が膨らむジャンルが少々偏りすぎている気もするが……
■天霧夕音
ライゼルグに留学してきた日本人、家庭的で家事全般を得意とする
誰かの役に立ちたいという思いが強く、主人になって欲しいと願うことも
お世話はするものの、正面からそれに対して感謝されると赤面する一面も
また、悪戯好きな面もあるのか、透などをからかって楽しんでいる事もある
■白鹿愛莉
ライゼルグに留学してきた少女で、タイミングは透より後になる
透の従妹であるが数年ぶりの再会であり、そこまで深い知り合いではない
恥ずかしがり屋で、早とちりが多く、自己完結しやすい部分がある
相手の前では緊張してしまうため、メールなどで思いを伝えることが多い
■真咲・ガイヤール
ライゼルグにいるセリアンスロープという種族の娘、耳と尻尾が生えている
透の居候先となる「牙と爪の獣亭」を経営するオーウェン・ガイヤールの娘で
暇を見ては看板娘として働き、父の手助けをしている親思いの女の子
明るく気さくな性格で、親しみやすく透とも直ぐに打ち解けていくことになる
美味しいものには目が無くドーナツが好きだったりするが意外と大人びており
暴走する周囲の面々を纏める役割を果たすこともあったり
■ティア・ホーエンヴェルフェン
透の同僚となる教師で、エルフと呼ばれる種族の女性
真面目な性格ではあるが、とっさのことに上手く反応できずあたふたする面も
また、勘違いや早とちりなどから思わぬ方向に思考が飛んでしまう場合もあり
真面目という印象はあまり強くなく、そそっかしいイメージが強い教師である
■火宮木乃香
キャンプの途中で透の前に突如現れた謎の少女、記憶は無い様子
状況からライゼルグで伝説とされる「彷徨人(カナタビト)」ではないかとされる
気だるげな雰囲気と、独特の口調、マイペースな性格の不思議キャラであるが
透を弄る為、悪ふざけに乗っかってみたりと、ノリがよい一面も垣間見られる
【雑感】
システムは使いやすく、ビジュアル面も安定しており、安心してプレイできます
ヒロインはゆずソフトおなじみの味付けながら可愛く描かれていました
片思い時や両思いになった時のイベントなどもしっかり抑えられいます
Hシーンも、キャラ差はあるもののおまけを含めて回数は十分に書かれており
行き過ぎない程度にフェチ的なプレイも用意されており、濃さもそれなりです
と、各要素は高レベルで良い部分を探すといくらでもあるのですが……
各要素を繋ぐお話の面で引きの弱さを常に感じてしまう作品になっていました
展開の乏しさというのでしょうか、作品中の活動範囲があまりに狭すぎるので
1ルート目の個別に入る頃には既に退屈さを覚える部分がいくつかありました
シナリオのことは置いて、気に入ったヒロインを堪能すれば問題の無い作品!
と言いたいのですが、その点についてもこの作品については微妙なところです
正直ヒロインを堪能する為の土壌がしっかり用意されているとは言い難いかと
勿論、各魅せ場のシーンをピックアップすれば、つぼを押さえており
その破壊力は十分にあるのですが、全体の尺から考えると比率が抑え目で
思ったより堪能できないというのがプレイして強く感じた部分でした
展開のパターンかもあって一気にプレイしようとするときついゲームです
ほんわかした展開を楽しみつつ、たまにシリアスでメリハリをつけて
そして、お目当てのヒロインとのイチャラブに収束していく……
という萌えアニメを楽しむような感じでプレイするのが良いのかなと思います
ヒロイン自体は可愛いですし、Hシーンとかはしっかり抑えられているので
お気に入りのヒロインがいるならば手を出してみるもの良いかなというところで
逆に空飛ぶ島の秘密とか設定やシナリオを期待する人はオススメしませんです
以下、ネタバレを含む感想
【ヒロイン】
個別ルートは大体Chapter6の後半から開始されます
■シャーリィ・ウォリック
唯一、透のトラウマがしっかりと語られるシナリオになりますね
シャーリィの心に潜んでいた母との死別に関するしこりについては
引っ張る展開でもないかなと思いつつ、「彷徨人」も無理に絡めた感じですが
シャーリィの問題の力になろうとする透は新米教師らしさが出て良かったです
また、透自身の問題解決のときにその展開が生きてくる流れも良かったですね
共通部分の設定も活かされており、数少ない設定の生きたシナリオかなと
コレに集約してしまったがために、他でやることがなくなった説もありますが
SD絵の使用頻度が高いです、サブキャラだととにかく妄想から突っ込みを入れられるまで
がコンボになっている吉本芸人的お約束回収キャラになります、メインです一応
■天霧夕音
丁寧語で黒髪ロングでちょっとSって大好物なのでそれだけで十分!
なのですが、……留学してきた日本人にヒロイン枠二つ取るのはどうなんでしょう
教師という職業から一度は逃げてしまった透との対比なのですけども
いきなり出てきたハイジャンプという設定だったりはライゼルグ感がゼロですね
夕音に陸上競技の服を着せたかったというのなら非常に正しいのですが
後半の展開については、バッドな展開というわけでもないのですけど
ご都合展開でもないというある意味この作品らしい流れであるかなーと
見せ場は多分、ライゼルグの最終日に一日中抱き合うことだと思います
シナリオはともかくHシーンやら衣装やらはかなりツボな娘でした
多分、取り合えず可愛かったらいいやがこの作品の正義なのでしょう
その辺り見た目に一番惹かれていたヒロインでそれがあったのは幸運なのでしょう
■白鹿愛莉
正直最初にルートへ(狙って)突入したのですが入ったのに気付きませんでした
それぐらい導入部となる展開が共通ルート的といいますか平凡な感じです
ただ、あさっての方向へヒロインが暴走していく様はなかなかに楽しいです
後このルートではキャラが基本的に濃くなっていますね……
他ではほとんど見られないパーソナリティなので、漸く愛莉の持分が来たな
と思っていたのですが、個別ルートに入っていました、それぐらい展開が緩やかで
全体的に起伏の弱い本作の中でも特にさりげないシナリオになっているかなと
ヒロインと和やかに交流をする展開が好きならツボに入るのではないかと
基本的にはキャラ同士の掛け合いを楽しむためのシナリオって感じですね
愛莉のパーソナリティで引っ張っていくシナリオで、彼女が気に入るか
そうでないかで子のシナリオを楽しめるか否かは大きく分かれるかなと
個人的にはちょっと展開の割にはシナリオが長く感じました
■真咲・ガイヤール
この作品が何故空に浮く島なんて無茶な設定を採用したのか
この回答は真咲ルートのペットにする周辺の展開にすべてが集約されています(真顔
半分本気の冗談はともかくとして、ヒロインとしてはお気に入りです
個人の好みでビジュアル的にはそこまで惹かれなかったのですけれども
他のシナリオでは落ち着いて、突っ込み役にいることが多い真咲が
このシナリオでは不器用でストーレートな愛情をぶつける様は良かったです
しかし、ライゼルグに住む種族のセリアンスロープという設定については
正直、耳と尻尾のついた女の子に首輪を渡してもらう着想が先だと思います
■ティア・ホーエンヴェルフェン
恋を意識し始めたティアの相談役になっているうちに……
ということで定番ですけど、これぐらいがわかりやすくて良いかなと思ったり
Hシーンの回数はともかく、シナリオのボリュームとしてはメイン格よりも
1ステップずつ少ない感じなのですが、テンポのよさでこちらの方が
シナリオとして全体に楽しめた気がするというのはなかなか皮肉なところで
ヒロイン的にはエルフという種族のギャップみたいな一発ネタの部分もあるのかと
正直、真咲の首輪のようにコタツにエルフのシーンのために生み出された気がします
■火宮木乃香
記憶が無いゆえに周囲の者に頓着の無い彼女に色々してあげるお話
そのうちに木乃香が引かれていくのですが父性から異性へのシフト
というのがシナリオ中では読み取れなかったなぁと言うのが正直なところ
しかし、お弁当のシーンが可愛かったのでし良いかなと思ったり
基本的に感情の起伏は少ないですが、さりげない行動が可愛いですね
彷徨人という設定もあり、その辺りの謎の解明も気になったのですけど
正直、新しい設定が増えただけで、何も解決していないという……
ライゼルグといい肝心な部分が何も見えない作品だなと思います
変にシリアスしなくてもそこ掘るだけでバリエーションは増えそうなのに……
【Hシーン】
シャーリィ・ウォリック:5
天霧夕音:6
白鹿愛莉:4
真咲・ガイヤール:6
火宮木乃香:3
ティア・ホーエンヴェルフェン:5
サブキャラでも最低3シーンあります、サブの力の入れ具合はかなり凄いかと
各シーンは抜きゲーレベルとは言いませんが、結構マニアックなシーンもあり
かなり頑張っている印象になっています、遠くに夕音と真咲ですかね
ちなみにこの2人は1シーン多いですが、自慰シーンがあるのでいうほど
シャーリィより優遇されているというわけでもないです
【まとめ】
アレが駄目コレも駄目で削りすぎてしまった結果という感じでしょうかね
悪い意味で波風の立たない展開の作品になっているかなと思いました
これについて、一番足かせになっていると思ったのが教師設定でした
根本否定みたいで失礼ですが、ヒロインと思う存分イチャイチャしたい
という思いで、プレイするとこいつがなかなかの難物になっているのです
作品の関係の殆どは教師と学生と言う関係なのですから当たり前ではあるのですけど
毎回のように、相手は教師だから、或いは学生だから……で躊躇するような展開が入り
2人の仲を内密にしようとかが定番のように入ります、相手が教師でも……
と、教師を主人公に置いたが故の問題点にもろに嵌っている感じになるのですが
シナリオで引っ張っていく展開ならともかく、イチャラブを期待されるであろう
この作品においては、この問題が結構致命的なもいのになってたかなーと思います
設定といえば本作で用意されてた各設定も上手く活かされているとは思えませんでした
個別ルートで設定の幾つかを少し使っていたりするのですが、要素同士の繋がりが弱い
透の過去が生きるのはシャーリィ……わずかに夕音のみ、エルフ設定が生きるのは
ティアのみ、セリアンスロープ設定が生きるのは真咲のみと、バラバラに使われています
それ以外の要素についてはどのシナリオもライゼルグである必要がなかった
そもそも、ライゼルグというところで暮らしている実感が沸かないという部分が……
結局、一番ネタとして興味の惹かれるライゼルグについては何も解らないままですしね
せっかく盛り上げるだけの要素を持っているのに、それを使えいていない感じがしました
また、個別ルートも大きな事件があるわけではなく、個人の内面の問題が多いです
それに教師として学生に懇切丁寧に付き合っていき、問題を解決していくという展開
描写自体もそれなりに尺が割かれており個別の導入部分の役割を果たします
これが悪いとは思わないのですが、そういった展開をこの作品に求めていたか?
というと微妙、落す展開があるでもなく、テンポのよい日常シーンがあるでもなく
勿論、イチャラブがあるでもなく何処にも振り切れないもどかしい展開になっていました
前作の問題を受けてか、余計な事をしないことを意識しすぎて何も出来ていない印象
最低限ヒロインとのイチャラブHシーンだけは残っているのですけど
そこに持っていくまでの道程があまりよろしくないので、厳しかったです
此処までくると個人の好みによる部分も多くあるので平均点を狙うのでなく
どこか特化した、偏った作品にシフトしたほうがいいのではと思いました
エロやキャラ以外にももう少し製作陣の趣味をぶち込んでもいいのではないかなと


