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伝統攻撃

でも、それって根本的に感想になっていませんよね?

お嬢様はご機嫌ナナメ 感想

emsembleの「お嬢様はご機嫌ナナメ」の感想です

【あらすじ】
長年、七枷財閥のお嬢様である「七枷七波」のお付を勤めている「桜咲元」
元は七波に仕える少年執事としての顔のほかにもうひとつの顔を持っていた
七枷財閥の分家で最も力を持つ「友禅寺」に嫁いだ「友禅寺鶴美」の支持の下で
資金を調達の為七枷家の美術品を売り払う「アルバイト」としての一面である

元は、鶴美の金策の先に七枷の本家を乗っ取り牛耳る目的がある事を知る
元は七波を守る執事として、鶴美の企みを阻止する為、従うフリをして
なんとか出し抜けないか抵抗をするうちに、思わぬ事態にめぐり合うことになる
果たして元は鶴美の企みを阻止して、七枷家を、七波を守ることができるのだろうか


【システム】
・画面は16:9
・キャラ別音声設定あり
・キーボードのショートカット機能あり
・マウスジェスチャー設定あり

シナリオのジャンプ機能がないもののそれ以外は特に問題なし
ただ、共通ルートは結構長い為進行形の便利機能は少しほしかった所

攻略対象となるヒロインは5人、シナリオロックなどはありません
シナリオ中盤で2つに大きく分かれた後にヒロイン個別に分岐します
「七枷七波」「雪小路詩綾」「桜咲花」を攻略するメインルートと
「響木音羽」「一峰透夏」を攻略できるアイドルルートでもいいましょうか
共通ルートは分岐させたいルートのヒロインを重点的にフラグ立てして行き
シナリオ分岐後は攻略目標のヒロインを重視するスタイルで問題ありません
選択肢自体は多いですけどあからさまなので攻略自体は簡単な部類だと

メインシナリオは2部構成となっておりボリューム的には贔屓されているものの
本筋の長い短いの差が大きく個別自体の長さはそこまで大きくもないでしょう
本筋から外れた2人のヒロインの扱いが非常に軽いというわけではないです

基本一本道ですが花のシナリオだけHシーンの分岐が一度存在します
解りやすい部分ですが、セーブなど忘れると面倒なので注意の程を



【雑感】
あらすじを書くと鶴美と元以外いらないんじゃないかなと思ってしまう流れですが
私の纏め方が致命的に下手なのはともかく鶴美の比重は実際に大きくなっています
ある意味この作品最大のキーキャラクターと見ても間違いはない存在でしょう

毎回ただのお嬢様やセレブものではなく変化球を入れてくるブランドですが
今回は特に経済というかマネーゲーム的な描写の方に力を入れているように見られ
お嬢様(セレブ)系のゲームとしてはかなり比重が弱い作品のように感じました

確かにこういうジャンルでは庶民にはない金銭感覚というものが1つの
ネタとして扱われますし、定番である没落なども親和性が高いネタであるわけで
2つのネタを絡めたのは面白い試みであるとは思うわけです

ただ、もう少しヒロインとの絡みに比重を置いてほしかったというのが正直なところ
既にお約束となっている世間ずれした価値観とか優雅な日常なんて描いてもという面が
特に毎回お嬢様をヒロインとした作品が作っているこのブランドからしたら
あるのではと思ったりもしますけど、もう少し優雅でほのぼのした話でもよかったなと
特に今回は癖のあるのがいくつかいるものの個別ルートでの魅力については
どのヒロインも高かっただけに、本筋に尺のほうが食われていたのは残念でした

このシナリオはこのシナリオでありとしても、もう少しヒロインを堪能できる
シナリオでヒロインとイチャイチャしたかったという思いが強かったですね
ネタとして評価されることが多いであろう詩綾ルートですが個人的な意見として
ヒロインの見せ方としては正直コレが一番よかったなと思ったのは内緒です

このシリアス部分とヒロインとのイチャラブがどれほどの比率なのかについては
体験版を一通り触ってみるのが一番わかりやすいかなーと思います
これで経済の薀蓄とかいいからヒロインを魅せろという方には少々退屈かもしれません
萌えゲーの日常部分なんて退屈だからコレぐらいの方がいいという方には
向いた路線かもしれません、興味があれば体験版で感触を確めるとよいかと思います


以下、ネタバレを含む感想




【ヒロイン】
■七枷七波
普段は言動の読めない天然キャラにして、世間ずれしたお嬢様
学園では偉ぶるでもないが非常にマイペースに振舞っている
生活はかなり元に依存気味であり、基本的にはべったり
しかし勉学は非常に優秀であり、スポーツにも堪能と万能系

自ら動く事は早々無いが有事には元や鶴美などよりも数段上手であり
この作品における無敵キャラ的位置づけがなされているメインヒロイン
ノンビリ惚けていて実は切れ者ということで定番的位置づけではあるも
メインヒロインにしてこの立ち位置は少々強すぎるのではと思わなくもない
ただ個人的にそこまで鼻につく感じがなかったのはキャラクターの勝利でしょうか

2部構成ということですが1部の時点で、充分想いが通じ合ってるじゃない?
と思いつつももう一段階の変身を残してべったりと甘えてくる姿はよいです
基本ずっとべったりなんですけど、独占欲的なものへの進化はいいですね

シナリオについてはとにかく本筋である鶴美との決着という感じで
最後までマネーゲームばかりだったのは……つまらなくはないのですけど
この流れだと七波の凄さは解るものの、魅力が出てこないのですよね
勿論イチャラブ部分はしっかりと書かれていますしその部分は可愛いのですが
もう少し平凡に斜め上なお嬢様との日常を楽しみたかったというのが正直なところです
あ、経済の話については特に言及しません、門外漢ですし



■桜咲花
元の妹であり同じく七枷家にメイドとして仕える少女、絵画を志す
公的な場面では少々兄を慕っている程度のごく普通の妹に見えるが
プライベートでは度が過ぎたレベルのブラコンであり甘えん坊である
十分優秀な人物ではあるが、本筋に関わるような事は殆ど無く
七波の補助役程度で納まることが多く、日常(?)を象徴するようなヒロイン
常にぴりぴりしたムードの続くシナリオで癒しをもたらしてくる存在である

そんな花のシナリオが鶴美と元の関係にしっかりと決着をつける話であり
解釈次第ではグランドとも取れる扱いを受ける、重要な位置なのは面白いところ
七波が正面から突破するシナリオだとするなら、こちらは裏道を走るような感じで
クライマックスの盛り上がりなどは、七波に劣るような感じがするものの
エンディングの雰囲気としてはやはり最後に相応しいように思いますね
そんな感想を持つのはこれが実に鶴美ゲーだったことをよく象徴している気も

最初から好意が透けて見える妹なので、告白まであっけないのは仕方ないものの
少し拍子抜けした部分があるのも確かです、その辺りグランドというには
少し弱い部分があるヒロインなのですよね、キャラ自体は強いんですけど

しかしシリアスが弱い分、イチャ部分が濃いといいましょうか
共通ルートから語られてきた抱き枕やボディーソープの破壊力は素敵です
こういう風に何の罪悪感も無く当然の権利のように甘えてくるのもいいですね


■雪小路詩綾
七枷家と拮抗する力を持つ、雪小路財閥の令嬢
元に対して熱い視線を注いでおり、ついには大胆な告白までに発展する
七波とは対照的に如何にもお嬢様然とした印象の受ける少女であり
その振る舞いも、隙が無く七波とは別ベクトルで完璧なお嬢様である

メインシナリオに進んだ上で詩綾にすりよると待っているネタシナリオ
とも言うべきでしょうか、あっさりと問題の鶴美はフェードアウトして
詩綾の困った性格とどのように向き合っていくかが中心となります

詩綾のキャラの濃さについては濃いキャラといえばある程度想像もつきますが
他は在る程度鶴美ありきのシナリオに対して完全に持っていかれるというのは
なかなかに予想外です、でもこの馬鹿っぽさは嫌いじゃないというか好物ですね
他では基本的にかませな詩音の話もあって……これ、めくらましじゃね?

前作からお嬢様学園を舞台にしたコメディを求めていた自分にとっては
キャラはともかくとして、こういうのでいいんだよ的なシナリオだったり
ヒロインとしても好きですよ、表面上の性格は容姿と相まって凄く好みですし
真の性格はこれはこれで面白いという感じです、MじゃなくてSなら超好きでした


■響木音羽
奇妙な縁から知り合うことになる元ソプラノ歌手として活躍していた少女
成長と共にその世界からは道をはずれ、バイトをしながら妹と弟を養っている
ふとした縁で元と知り合い、良くも悪くも相手を意識しあう関係になる
何事もはっきり言う性格というか強引に価値観を押し付ける身勝手な部分がある
よく言えば真っ直ぐではあるが、ブレーキの利かない暴走列車がごとき少女
正当性があるかはともかく、その姿がまぶしく映る部分もあったり

結構行間を読まないと辛い気がするヒロイン、特にという意味で共通ルートは
強引に元と縁をつける意味があったのでしょう、序盤の描写は性格を疑いますし
2人の縁を決定付ける原因となった場面も、この子にしてあの親だなと思うほど
この2点からして、非常に印象の悪くなってしまう部分がありました

音羽自体、良くも悪くも賢く生きようとしてしまう元に多少無茶な理論でも
発破をかけるような役割があるのだとメインルートを見る限りは思います
ただ、それをやるにも共通までの悪印象がぬぐえない為に、それはそれとして
という感じで割り切って彼女のポジションを受け入れる必要がありました

ヒロインにしても個別分岐後についてはしっかりヒロインしていると思うのですが
共通時点で彼女に惹かれていく過程として「周囲を引っ張っていく力」や
「不思議な魅力」的なものが使われており、プレイヤーがどう思うかはともかく、
ヒロイン攻略の前提として、割り切って進めていかないといけないのです
このあたりは主人公や透夏に言わせるだけでは少々つらいなと思いました
シナリオ上でも、その魅力となる部分を魅せてほしかったわけですが

尤も、しっかりとシナリオでそれが描写されていたのかも知れませんけども
どうにも共通ルートのインパクトが強くて、逆転は図れませんでした
悪く言ってますが、個別でのヒロインは可愛いと思います、はい
導入部でもう少しまともな印象を受けていたなら素直に楽しめたのになぁと

因みにシナリオにしてはこれも、個人的には少々……
アイドルとは既にネットと切り離せない関係となったのでしょうかね
身近を作りやすいという利点もあるのでしょうけど、複雑な気分

あとアイドルというか歌をネタにチョイスした部分もあるのでしょうが
最後の鶴美たちを説得するシーンも行間読みを求められているようで
なんていうか全体的もにょもにょしてしまうシナリオでしたね


■一峰透夏
元がお世話になった道場の娘でクラスメイトで数少ないまともな友人
その凛々しい姿からお約束のごとく女子の人気があるものの
自分が女らしくないのではないかと一種のコンプレックスを覚えている
元に好意を寄せているが、元の鈍感さや、女性としての自信のなさから
思いを伝えることが出来ず、やきもきしている部分がある

音羽と元の関係への勘違いから、発展していくシナリオということで
ネットで話題が沸騰して驀進していく音羽シナリオと違って
こちらは狭いところから段々とステップアップしていく形で対照的
代わりに夢をひたすら追いかけるのではなく、アイドル活動をする上で
恋愛をしていくという難しさがピックアップされている感じでしょうか
この地味さが非常に、透夏お嬢様らしいといいましょうか

夢の中の話的な超ご都合主義展開の音羽シナリオと違って
こちらの方がアイドルシナリオとして個人的に好みの路線であります
ヒロインといちゃつく機会も多く、透夏のヒロイン力も堪能出来ます
個人的に本筋を大きく語らず、ちょっと外れたぐらいが楽しめているのは
この作品に求めているのが私の場合キャラ萌えだからでしょうね
そんな感じで、地味な感じですけど結構好きな話だったりします



【Hシーン】
・七枷七波:4
・桜咲花:4
・雪小路詩綾:4
・響木音羽:4
・一峰透夏:4

均等に4シーンずつ、胸とか口とか野外はあるものの特殊なプレイは少ない
前戯から本番など2回戦が基本となっており、1シーン自体の尺はそこそこ
詩綾がそのキャラによりマニアックめな縛りプレイを一身に担っているが
濃いシーンのニーズに応えるレベルはないので過度の期待は禁物です
萌えゲーの平均より多少上で抜きが強い路線と比べると弱いぐらいかなと



【まとめ】
もっと普通のお嬢様萌えゲーが見たかったというのが正直なところでして
今回はヒロインがそれぞれいい個性を持っているだけに特にそう思いました
経済やアイドルをネタにした事自体は別に問題ではなかったですし
変に退屈な日常シナリオを見せられるよりはよかったのかもしれませんが
流石にヒロインシナリオの尺を大きく越える配分となると思うところもあり

ヒロインではないですけど正直鶴美押しが過ぎるといいますか
本筋はとにかく鶴美だっただけに花とかのシナリオは分岐するまでは
鶴美の印象の方がずっと強いんですよね、作ったほうも気に入ってるんでしょうか
元との関係を無視して鶴美シナリオがグランドとしてあっても驚かないレベルです

そんな感じでヒロインとシナリオ、どちらもそこまで悪いという印象は無く
特にヒロインについては良かったと思うのですが、食い合わせからヒロインが薄れ
終わってみたら、全体的に物足りない感じがする作品になっていました

本筋が悪いとは思わないのですが、もう少し抑え気味にしてもらって
詩綾ぐらい斜め上なヒロイン達に振り回される作品がよかったなと思うのでした
どのヒロインもそれだけのポテンシャルは持ってると思うのですよね

悪くはないですけどこのキャストで直球のお嬢様ものが見たかったですね
個人的にはFDがあるなら是非お願いしたいなと心残りのできる作品でした
七波アフターだけじゃなくて他の娘もですね、ハイ

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