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伝統攻撃

でも、それって根本的に感想になっていませんよね?

ガンナイトガール 感想

きゃんでぃそふとの「ガンナイトガール」の感想です

【あらすじ】
2034年、世界のどこかで戦争が4年前から行われているも
直接の被害はない日本の田舎町においては現実味が薄い話であった
しかし、とある事件を境に町から人が消えていき町の学校は休校

代わりに自衛軍の工兵の訓練学校の学生達がやって使うことに
その授業に参加することになってしまった主人公「桧森絢斗」は
忌避していた軍の人間ということで最初は警戒していたものの
普通の少女である学生達との交流もあり心を許していくことになる

そんな日々もとある事件を境として大きく状況が変わることになる
田舎町に再び起きた戦闘機の墜落事故、次の日に失踪した「高遠小夜子」
小夜子が前日に残した意味深な言葉から、疑念の積もった絢斗は
独断で事件を追っていくことになり様々な思惑に振り回されることになる
果たしてこの田舎町で何が起こっているのか、小夜子の行方は?


【仕様】
攻略対象は5人、ルート制限ありである程度攻略順が決められています
選択肢は複雑でないので軽く意識して選択すれば分岐は可能かと
シーンスキップもあるため、有効活用すれば時間も短縮できます

ヒロインの萌えもHシーンもそれなりにありますが基本的にはシナリオ重視かと
自衛軍という設定や兵器の話も出てきますが魅せ場としていくつか登場するも
作品の中心となるほど燃えにも尺は割かれていないように思えます


【雑感】
どちらかというと軍やラボの思惑に振り回されつつも弱いなりに
主人公やヒロインが成長していく様を描いている作品になっています
故に少年少女の弱い部分を描くことが多く、シリアスではギスギスする部分も

特にこのゲームでネックとなるのが、主人公「桧森絢斗」の存在
絢斗は裏でうごめく陰謀について何の影響力をもてない無力な存在であり
ほとんどのシナリオでは空回りをして周囲を混乱させるという役どころに

また、年頃の少年ということを意識しているのか幼稚な部分があり
かなり頭に血が上りやすく、暴走しやすいという見ていて疲れる男の子です
下手に行動力がある分、周囲を戸惑わせそのたびに諌められて恥をかいたり
それを受けてイジケたりと見ていて、胃の痛い困った存在になっています
この物語でヒロインとの関係を深めるには絢斗のような強引さが必要だった
というのもわかりますが、もう少し落ち着いてほしかったなと思うのも確か

全シナリオを通してかっこいい主人公像とは、程遠い存在なのは確かであり
こういった幼さが前面に出された未熟な主人公が苦手な人には辛いかと思います
マシになることはあっても反転してカッコいいキャラになることはありませんので
最低限体験版を触るなどして主人公との相性を見たほうがいいかと

主人公を除いても基本的に登場人物が単純に良い子ではないことも注意が必要で
何か気に入らないことがあれば悪態をついたり暴言を吐いたりということもあります
そんなわけでシリアス部分では何度となく雰囲気が悪くなる部分もあります
それがウリといえばウリでもあるのですけど、好みは分かれる部分であるかと

暗雲立ち込める展開は多いものの、各シナリオの結末の後味は悪くないです
最後まで救われない系の話ではないのでそのあたりは安心して良い部分かと
まあ、これが設定を考えるとご都合主義な感じを強めている気もしますけど
とりあえずプレイヤーを鬱にさせるためのゲームではないということで

ミリタリー部分については詳しくないのでパスしておきます
近未来ということで、多少ファンタジー入っていますし、真剣に考えるものでもなく
個人的な基準であからさまにそれはおかしいだろうという描写はなかったかと
全体的に軍やラボのやり方が甘いとかそういった突っ込みは基本スルーします

そこを除けばシナリオ自体は、それまでのシナリオで張っていた伏線などは
グランドに当たるシナリオでうまく回収されていたと思います
一度グランドをプレイした後ほかのシナリオを見ると色々気付く部分もあったり
とそんな楽しみ方ができるぐらいには整合性が保たれていたかとは思います

ヒロイン自体もそれぞれ個性的で癖がある中、しっかりと魅力は描かれており
シリアスで胃が痛い中でもヒロインは可愛く安心して見られ良い癒しでした
多少暴走する傾向にあったりするものの絢斗もヒロインには一途である為
イチャイチャする部分ではあまり害されることなく楽しむこともできました
(尤もこの一途さ故にシナリオをややこしくしている部分があるのがアレですけど)


個人的には体験版の印象そのままという感じで
私が期待したことは良くも悪くも裏切られない作品でした

ご都合主義に感じられる部分が多々あるものの、田舎町で起きた事件の範囲で
話をまとめており、シナリオ中に撒いた伏線をしっかりと回収しているので
メインに関わる部分では特に不満となる部分はありませんでした

また、大きな陰謀が裏で渦巻いているのですがそれをどうにかする話ではないので
その辺りに対して過度の期待をする人には物足りない内容かもしれません

ヒロインも他の作品ではなかなか目に掛からない面倒なキャラが多いのですが
なんだかんだで可愛いと思わせる部分も多く、どの娘もお気に入りです

主人公を許容するのが結構ハードルが高く、人を大きく選びますけど
それさえ気にならず、体験版の雰囲気が気に入れば手を出して間違いないかなと
多少、気になる程度でも手を出してみたら楽しめる要素は十分あると思います
少なくとも丁寧に作られたゲームではあると思いますので合えば楽しめるかと


以下、ネタバレを含む感想



【システム】
・画面は16:9
・キャラ別音声設定あり
・シナリオジャンプあり
・前回の続きからあり
・攻略制限あり

基本的な機能+前回の続き+シナリオジャンプというところ
シナリオジャンプは演出や日付でとめられることもあるので性能は微妙
ただ、共通もそこそこ長いのであるとかなり便利であるのは確かです

攻略制限は最初学生3人のみ攻略可能
学生3人攻略後「古宮環」シナリオ攻略可能になります
「古宮環」シナリオ攻略後「高遠小夜子」が攻略可能になります



【ヒロイン】
シナリオ中盤、戦闘機墜落事故が発生しさらに町から人が去っていき
その次の日何か示し合わせたように絢斗を気に掛けていた小夜子が姿を消す
戦闘機墜落事故と小夜子失踪の関連性を疑い、絢斗は周囲の制止を無視して
真相を暴こうとするが……というところで展開が分岐していきます


■宗方ましろ
陸上自衛軍女子工科学校二年生ということで絢斗たちと同級生になる
丁寧な言葉遣いであるが人当たりがよく親しみやすい性格をしている
ノリもよく、絢斗たちのおふざけにも良く乗ってくれたりする
でもその時の反応が近所のオバさんみたいだよねといってはイケナイ
シリアス部分で雰囲気が悪くなるところでも絢斗を気遣ってみたりと
ましろの存在に救われることは少なくない

絢斗たちともいち早く打ち解けるなど何かと気配りが出来る子である
ただ、持ち前のドジから思わぬ言葉を漏らしたりと危なっかしい面がある
致命的な聞き間違いをするという特徴を持っていたりと集中力に欠ける

小夜子さんは置いてとにかく、にっくきラボになるシナリオ
そんなわけで色々と空回りが酷いものの、ある意味初手でこけているため
本人の必死さはともかくとして周囲の目線は生暖かいのは救いか虐めか
(ある意味でこの世界の一番の問題点に振れているんですけど絢斗の踏み込める
領域を大きく上回っているのでどうしようもないのですよね)

学生三人では何かとネックとなる夜刀の存在が一番薄いものの
一番真に迫っている情報が提供されるのはこのシナリオになっている
勘が良い人ならここである程度の関係が割り出せるかもしれない
そういう意味では攻略は3人組では一番最後がいい気もするけれど
他の情報開示は一番少ないのでやっぱり一番最初がいい気もする


■風祭志乃
ましろと同級であり、学業訓練ともに優秀な優等生、ましろの相談役でもある
ましろとは対照的につんけんした部分もあるが周囲を気遣っており
感情的になってつんけんとした態度をとってしまったことなどを後悔している
一度デレるととたんに弱い自分を見せ始めとことん依存にはじめるかなりちょろい子

日本が戦争の被害を唯一受けた地域の出身であり、戦争への恐怖心が人一倍強い
また人を殺す行為に対して恐れを覚えるという致命的な欠点を抱えてしまっている

他のシナリオではツンケンとした態度の下に隠し通していた人に依存してしまう
弱い部分が絢斗により暴かれて完全に軍人として壊れてしまうシナリオ
なんとか前に進めるようにと絢斗は後押ししていくことになるが上手くはいかず……

星空の下での告白って視覚効果は卑怯だなと思わざるをないです
「友達になろうぜ」も印象的ですが、恋愛感情に対する告白シーンでは
あとで他の仲間からカエル捌いている時に告白したの?という指摘を受けるまで
そんな変なシーンだったことを気にしないぐらい騙されてしまった……
その指摘後も満面の笑みで語る志乃がすごく可愛くて困る、ちょろい
とにかく、よく泣いてよく笑うころころ変わる表情が楽しい可愛い娘でした

何気に最終シナリオでお世話になるオーバードの目的がここでなんとなく補完できます
ただこの段階だと情報不足であり、小夜子関連についても一番情報が少ないので
プレイするときは一番最初にやるといいかなとネタバレに書いても仕方ない考察など

始めて敵を撃って心を折って軍を辞めることになる志乃はこのシナリオだけですが
EDの幸せそうな姿を見ると多分これが彼女にとっての最良なのではないかなと思い
そう考えるとグランドにあたるシナリオでの流れは複雑な気分にもなったりもして



■七海恋歌
マイペースで毒舌な後輩、自称ドMで実際にその片鱗も覗かせるなど非常に濃い
一年であるが故に体力は他より劣るが射撃では高い適正を見せている
観察眼や洞察力に優れ、些細な変化でも目ざとく気付いたりする
生徒の中では一番適性のある人間であるように思われる(実際そういわれる)

自分を邪険にしなかった絢斗に好意を持つことになりこれは全ルートで共通する
その分行動を良く見ているのか絢斗の変化については目ざとく、色々と勘が働く
仲間としては非常に頼もしいが、何かと秘密裏に動きたい後ろめたい絢斗には厄介な存在
結果的に他のヒロインシナリオでは嫌な役割回ることも多い損な位置づけ

かといって本人のシナリオだと安心かというと一番どろどろすることになる
序盤から体の関係を持ち暗雲が立ち込めるも絢斗の持ち前の一途さと前向きな性格で
恋歌の暴走をフォローしてなんとか上手く安定期に入っていくことになるかというと
勿論そういうわけでもなく更に暴走する恋歌と見放していく周囲という胃の痛い展開に

それ以外にも奇行や痛々しい発言も目立ちますしなかなかにハードルが高いです
そんな彼女だからこそ良くも悪くも一途で影響されやすい絢斗が主役として適任だなと
しかし、女の戦いとかガチでやりあう人始めてみた……

小夜子とオーバードにつながるヒントが尤も大きいシナリオになっているため
攻略順としては3人目がいいのではないかなと思います、それ以前に最初にやるには
このシナリオの空気は色々と重いのであまり初回に適さないとは思うのですが


■古宮環
強化外骨格の整備士であり、教官にあたる
冗談がわかる相手でノリは良く、生徒たちにとっても親しみやすい相手
厳しい一面もあるが、鬼という程ではなく生徒のことを思いやっている

整備士であるが運動能力が非常に高く、常軌を逸しているレベル
その正体について明らかになるのが本人のシナリオとグランドシナリオになる
一応、ましろシナリオでもその片鱗は見せてくれているのだけども……
ちなみに体験版だとこれの序盤を見れるのでその時点である程度は予想できたり

設定見せてきな立ち居低でもあり、最終シナリオの準備的な部分もあるシナリオ
一応他のシナリオ同様の尺は与えられているのでヒロインとしての扱いは悪くはない
絢斗の手綱を上手く取っているので暴走も少なく安心してみていられるシナリオ
特別扱いもあり妙に自惚れの強さが出ているのですがその辺りやっぱり空回りは
避けられないのが絢斗さんなのでその辺りは耐えておきましょうということで
いえ、環視点で見れば意味合いも変わって来るんでしょうけどもね

ヒロイン達にとってはともかく、絢斗にとって必要なのは同年代の少女よりも
しっかりと手綱を取り諌めてくれる大人なんだなとそんなことを感じるシナリオ
ただ、この年齢のヒロインをしれっと出してくるのはこのブランドならではですね


■高遠小夜子
1つ先輩である、不思議な雰囲気を持った女性
天然というかどこか常識を欠いたような行動をとることがある
何かと絢斗を気にかけており、傍目から好感度は非常に高い
どうやら絢斗といるとき以外は近寄りがたいオーラを放っている様子

他の3人と違い実験を受ける生徒ながら特別な枠として認識されている
生徒3人は知らないものの、一部の発言から恋歌により生徒ではないと指摘される
外骨格の操作は生徒としては考えられないほどの技量を誇っているなど
何かと不思議な点が指摘されるが教官含め詳しくは知らない謎の存在である
最終シナリオにいたるまでは結局その姿を発見されることない
恋歌シナリオでその断片が登場するが……

共通ルートで行方不明になってしまう先輩であるが、小夜子シナリオでは
分岐前に彼女に迫られ関係を持ち、絢斗が小夜子を思うようになることで話が動く
急に流暢な言葉を話すようになった夜刀の中に潜み常にそばにいたのが小夜子である
このことで他のシナリオで起きた不可解な事件の犯人が明らかになるも
ループものではないのでこのシナリオでは仄めかすものの実際には実行しない

オーバード計画の被験者の一人で、絢斗の○○で、後期夜刀の中の人である
何かと役割の多いヒロインで、恋歌を超えるほどの困った病みキャラでもあります
その辺りはシックスを見た恋歌の感想で間接的に指摘されていたりもしますね

彼女の嫉妬行動は本人のシナリオよりも、他のヒロインで発揮されます
特に好意が明らかであった恋歌シナリオではかなり極端な行動もとっています
小夜子シナリオでのシックスとの距離のとり方を考えると少し悲しい気もします

そんなシナリオの中心にいながら表舞台に出なかった小夜子と再会をすることで
ましろ達に行われている実験、戦闘機の墜落事故、北海道の事件、オーバード計画
その全てが明るみになるのですが……正直何も解決できないというのがこの物語の
絢斗が主人公である世界での限界というわけで、あくまでもこの物語の謎解き編

シックスについては別にいいか、いいよね絶妙に攻略したくないと思わせる
デザインでよかったと思います、レールガンで撃っても罪悪感ないしね
レールガンを撃ったことはちょっと演出重視で、後のこと考えると少しアレかなと
最後まで突っ走ってあとで後悔するのは……最後ぐらいカッコつけたいよね

しかし、このシナリオで一番心を奪っていくのは母親の存在ではないかなと
最終シナリオで互いの都合を越えて漸く一方的ではなく話し合うことが出来た
というのは個人的に漸く小夜子と再会できた以上のうれしさがありました
蛇足も蛇足だけど顔のしわ苦労を感じさせるけど肌はすごく綺麗よね


【Hシーン】
宗方ましろ:5
風祭志乃:5
七海恋歌:5
古宮環:5
高遠小夜子:5

公平に5回ずつ、複数プレイなどはなし
特殊プレイなども少ないです、恋歌はちょっと例外的
コスチュームなどはある程度がんばりますけど、それぐらいですね
回数的には多めですが全体の尺を考えるとそれほどでもないかなと
その割にはHシーンがある場所は結構固まっているんですけどね



【まとめ】
予想を裏切らず楽しませてくれた作品ということで、良くも悪くもです

主人公を特にとして登場人物全体の性格のやっかいさといいますか
敵らしい敵のお目見えが最終シナリオだけなので基本、敵対?というか
絢斗に対して不利な発言をしてくるのは友人や仲間達ということに
そんなわけでどうにもやりきれない部分があるのは確かです

リアリティといえばそうなのかもしれませんが、好き嫌いは強く出る部分で
ゲームの世界ぐらい気持ちよくさせてくれという人にはとことん合わないかと
その最大の障害が思春期で反抗期で無力を徹底して書かれるわれらが主人公

その無謀さ無知さゆえ救われたヒロインがいるのも確かなんですけども
プレイしている側としてはなかなか困ったちゃんなのも確かです

ただ、無力さはあってもいいけどもう少しだけ賢明さがほしかった気も
新情報が入るごとにそれを信じて深く考察もせず暴走は見ていて辛い
この描写だけでももう少し押さえてくれたらストレスは減るのになと

程度の差や人によってよしあしはあるのですけどここは非常に重要な部分なので
気になる人は体験版などで雰囲気をつかんでおくと良いかもしれません
踏み込んだ部分で言えば「もっと姉しよ~」の製品版とかがより詳しいです

そんな癖の強い部分もありますが、ばら撒いていた伏線は回収し
謎もほとんど解けるのでその辺りについてはしっかり作られていて好感触
ただ、あくまで謎がわかるだけで、そこで明るみになる非道が解決されるか?
というのは別問題です、志乃の問題については明るみになったところで
結局救われないわけですし(尤もその理由自体人からもらったものですけど)

というわけですっきりしない部分はあるかなと思います
シナリオの謎は解けるけど、結局何が解決したのか?
この田舎町で起きた事件においてヒロインとの関係に限れば絢斗は主役でしたが
その範囲を超える場所においてはただのモブに過ぎないわけです

キャラの癖はありますが、ヒロインは個性があり非常に魅力的でした
特にという点では志乃が可愛いちょろい可愛い、泣くの可愛いという感じで
依存ヒロインだったり病んでいたり病んでいたりと色々大変ですが良い娘達です

引っかかる部分はありますが丁寧に作られた作品という感じで
雰囲気が気に入れば、期待は裏切られず楽しむことができるかと思います
ただ、しつこいようですが主人公と合うか合わないかだけは見たほうがいいかもしれません
それなりに耐えられそうなら多少無理して手を出してもいいとは思いますが

とりあえず2012年の締めくくりとしては満足のいくものでした
このコンビの作品は次回も期待したいなと思います
……でも、もう少しカッコいい聞き分けの良い主人公路線でもいいと思うよ

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