lightの「神咒神威神楽」の感想です
この作品は端的に言えばADVですが、選択肢による分岐は存在するモノの
お話の流れは完全な一本道となっており、選択と言っても同じ時系列で起きる
各キャラクターのエピソードの内どれをのぞき見るか程度の意味しかありません
ここで、選択した結果によって、個別でどのキャラクターの結末を見るかには
分岐するのですが、これにより、展開が変化するという事はありません
普段の言い方からすればヒロインが4人となるものの、この作品は少し違いまして
作品を彩る4組の男女というのが一番しっくり来る表現ではないかなと
尤も、タイトル画面で自己主張するように坂上覇吐と久雅竜胆の2人が
物語の中心となり、共通ルートでの主な進行役とシナリオの重要な部分に迫る存在となるので
完全に4人の扱いが均等化というと実際の所、そうではありませんと断っておきます
逆に竜胆や覇吐はポジションはよいですがシナリオ的な活躍で言えば他に譲る気もします
さて、この構成からして、各ヒロインとの交流を深く書くような作品ではないということは
ある程度見当が付くのではないかと思います、特にシナリオの7割程度を占める共通部は
各キャラクターの個別エピソードを除けば、殆どが東征に向かっていくお話となっています
戦闘や成長、個々のあり方と言ったことを語るエピソードが殆どでありエロゲ色は薄いです
エロという意味では一応、各ヒロイン毎に2回ずつあるにはあるのですけど
まるでノルマのようにどのヒロインも同じタイミングで登場する為、お察しくださいと言うところです
ゲームの性質上複数周回する事になるのですが、シーンスキップが可能である為
2週目以降は、殆ど個別の分岐エピソードを見るだけで良くなるのですけども
それであっても全体的に互いの交流という意味では薄味であると思いました
各々を長々と語ってもテンポが悪くなってしまう可能性もあるので個人の良し悪しですが
どちらにしろ、キャラクターゲームの用に個々を深く掘り下げるタイプではないと思います
ともすれば、この作品で期待されるのはバトルとなるのですけども、コレが中々曲者です
序盤は良かったのですが、とある理由から中盤以降どうも乗り切れませんでした
個人の好みもあるのですけど、序盤に起こる衝撃的な結末の為に後を犠牲にしているような
最終決戦ともなれば、その懸念はないのですけど、これはこれでスケールの問題で人を選びまして
正直な話バトルモノとして楽しめたのは序盤の方の戦いのみだったなと思います
ある戦い以降、各キャラの転機となったようですが、私にとってもそんな感じでした
さて、この作品はDies irae2であると評するのを色々なところで目にします
実際の所、2どころか2章とか完全に続編を謳っても良いのではないかという内容になっており
この作品で、Dies iraeの世界(パラロスも?)が新たな広がりを見せる事になります
とにかくDies iraeの世界や雰囲気が好きというならプレイすると良いかもしれません
しかし、同時にDies iraeという作品の結末にバトルに満足している方は結構好き嫌いが出るかなと
ただ、Dies iraeという作品を知らないからと言って、全く楽しめないかというと
そう言うわけでもないかと思います、確かに共通ルートで戦う事になる相手の化外達が
一体何を訴えかけて戦いを挑んでくるのか、全く解らず、意味不明な演出も多いでしょう
だからこそ逆に、プレイヤーは覇吐達の気持ちを感じる事が出来、何言ってるんだこいつら
と、裏に何かあるんだろうと感じつつも東征を成し遂げていく事が出来るのではないかと思います
逆にDiesを知っている人間で、かつてうの登場人物に愛着を持っているモノならば
場合によっては我の強い本作の主役達より、天魔達に入れ込んでしまったり
入れ込んでいなくても、彼らの行く末を暗示してしまったりという立場となるかもしれません
この辺りは何となく、共通ルートの対立構造というか、各キャラの立ち位置とリンクする部分もあり
その辺りが狙って書かれたなら面白い話だなと思うのですが、ただの邪推かも知れません
とは言ってもプレイする人間の立場からすれば、かつて入れ込んだ登場人物が踏み台にされたり
逆に覇吐達より目立つし、意味の分からない思わせぶりな台詞をいう敵役に嫌気がさしたり
と言う場合もありますし、この辺りバランス感覚が非常に難しいところではあるのですけど
そのバランスが上手く保たれているかなと思えば、どうにも微妙であるなと感じるわけです
私の場合、それ程、Dies iraeの英雄達に思い入れはないつもりではあるのですけども
最初からクライマックスという感じで恋キャラクターを通す(理由はあるのですけど)登場人物に
どうしても入れ込む事が余り出来なかったというのが正直なところであったりします
過去作との関係性はともかくとして、この作品単体で見れば、ほぼ一本道である構成とか
どうにも乗り切れなく感じるようになってしまうバトルであるとか思うところは色々あります
ただ、最後まで読み切るだけのエネルギーはしっかりとありまして、終わってみれば
絶賛に至らないまでもなんだかんだで楽しめた作品でありました
色々癖があるので、燃え系が好きならと強く押せないのですけど
雰囲気を雰囲気として楽しめる方なら、そして、ライター描く世界のファンなら
プレイしても損がないのではないかなと思います
以下、ネタバレ強めの感想です